マックが長距離輸送用の大型トラック「パイオニア」を発表! 創立125年の老舗による最新鋭のアメリカンビッグリグ

マックが長距離輸送用の大型トラック「パイオニア」を発表! 創立125年の老舗による最新鋭のアメリカンビッグリグ

 米国のマック・トラックスが待望の長距離輸送用の大型トラックを発表。同社の大型車ラインナップでは、これまで汎用トラクタの「アンセム」が長距離輸送も担っていたが、大型トラックで最大のボリュームゾーンに向けて、専用シャシーとして新たに「パイオニア」が登場した。

 長距離専用トラックとしてパイオニアでは空力性能の改善にこだわり、ボルボグループで開発した新型パワートレーンと併せて、燃費は従来比で11%向上したという。

 また、コネクテッド機能や先進安全装備(ADAS)、快適性など、職業ドライバーの日常を革新するトラックになったとしており、今年で創立125年となる世界でも有数の老舗自動車メーカーは変革にも貪欲だ。マック「パイオニア」は、発表と同時に販売を開始している。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Mack Trucks

マックが長距離輸送用の新型車「パイオニア」大型トラックを発表

マックが長距離輸送用の大型トラック「パイオニア」を発表! 創立125年の老舗による最新鋭のアメリカンビッグリグ
完全新型車のマック「パイオニア」は長距離輸送用の大型トラクタだ

 老舗メーカーはかつて先駆者だった。今年で創立125年を迎えた米国屈指の老舗トラックメーカー、マック・トラックスは今も先駆者だ。ボルボ・グループに属するマックは2025年4月8日、プラットフォームから新設計した大型トラック「パイオニア」を発表した。

 米国の重量車区分で最も重い「クラス8」(総重量33,001~80,000ポンド=約15~36トン)の大型トラック(トラクタ)で、長距離輸送に特化した空力性能・ドライバー快適性を重視したモデルとなる。

 マックのハイウェイ向け製品の未来を体現するといい、定評のある頑丈さを表した大胆なデザインに、業界初となる多数の最先端機能を組み合わせた。北米市場(米国およびカナダ)向けのボンネットトラックで、キャブ構成はデイキャブからショート、ミディアム、ロングスリーパーなど多彩。

 同社が長距離専用トラックの開発計画をスタートしたのは2017年の事だといい、その成果についてマック・トラックス社長のスティーブン・ロイ氏は次のように話している。

「長距離ドライバーは月平均で150時間もトラックを運転しています。パイオニアの快適機能は、ドライバーのニーズに対する深い理解と、そのウェル・ビーイング(心身の健康)への弊社のコミットメントを反映したものです。

 これは、ただの新型車ではありません。パイオニアはハイウェイトラックに何ができるか新しい定義を与えることで、職業ドライバーの日常を変革し、21世紀にふさわしいトラック業界を形作ります」。

マックの大型トラックレンジ

マックが長距離輸送用の大型トラック「パイオニア」を発表! 創立125年の老舗による最新鋭のアメリカンビッグリグ
マックの大型トラック6モデル。向かって左からパイオニア、ピナクル、グラナイト、アンセム、テラプロ、LRと思われる

 マックの現行の民生用大型トラックレンジは、「ピナクル」「アンセム」「グラナイト」「テラプロ」「LR」の5車種で、ここに「パイオニア」が加わり大型トラックだけで6車種になる。

 グラナイトは特装系(リジッド)シャシーで、テラプロはキャブオーバー、LRはキャブオーバーの低床/塵芥車(ゴミ収集車)専用シャシーだ。もともとはピナクルがボンネット型の輸送用クラス8トラックを担っていたが、2018年に同車のSBA(セットバックアクスル)系を置き換える形でアンセムが登場。結果としてピナクルは大型セットフォワードアクスル(SFA)を担っている。

 セットバック/セットフォワードはトラクタの前軸(操舵軸)位置の違いで(前進させたのがセットフォワード、後退させたのがセットバック)、これは米国の重量規制の方法に関係している。

 米国では橋梁・道路舗装保護のために「ブリッジ・フォーミュラ」という方程式に軸間距離などの数値を代入することで大型車の許容重量を求めている(例外あり)。大雑把に言うと、車軸間の距離が長く軸数が多ければ車両の荷重はその間に分散するので道路へのダメージは少なくなるという考え方だ。ここで最も重要な数値が、トラクタ最前軸からトレーラ最後軸の距離=最遠軸距となる。

 前軸を前進させたほうが重量面では有利。ただし軸間が開けば取り回し性能は悪化する。このため、用途に応じて前軸を前進させたセットフォワード、後退させたセットバックなどの車型が大型トラックに設定されるわけだ。

 現行のピナクルは、セットフォワードによるロングノーズの長方形グリルが空気抵抗を悪化させ、州レベルで行なわれる全長規制、軸重配分などの制限もあり長距離輸送には適さない(ダンプ、平ボディ、バルク、家畜運搬などの用途が多い)。

 いっぽうSBAのアンセムは長距離から地場、廃棄物、ボケーショナル(特装)まで担う汎用の大型トラクタとなるが、その分、効率では専用シャシーに劣る。そしてこのたび長距離専用の「パイオニア」が登場した形だ。

マックが長距離輸送用の大型トラック「パイオニア」を発表! 創立125年の老舗による最新鋭のアメリカンビッグリグ
新登場のマック「パイオニア」

 したがって単純な置き換えではなく、パイオニアとアンセムを(当面の間は)並行して製造する。ただし、マックは数年間をかけてプラットフォーム全体を刷新するとしており、パイオニアに続く新型車の発表は遠からずありそうだ。

 なお、パイオニアには新型のMP13型ディーゼルエンジン、およびその高トルクバージョンのMP13HE型が搭載されるが、ベースはボルボのD13型エンジンのようだ。エンジン単体で燃費は最大3%向上したという。

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