ボルボ・トラックス・ノース・アメリカは大型トラック「ボルボVNL」の全面刷新を発表した。同社のフラッグシップとなる長距離輸送用トラクタで、空力改善とパワートレーンの効率向上などにより10%の燃費向上を果たした。
さらに、エンジンを止めても空調などを作動できるように24ボルト電気系統を導入したほか、事故ゼロに向けて安全機能も強化した。米国のトラックでは一般的な装備となる冷蔵庫もクラス最大級となるなど、日本同様、担い手不足が深刻化する米国にあってドライバーの「体験」革新にも積極的だ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Volvo Trucks North America
北米ボルボ、長距離輸送用の「VNL」トラックをフルモデルチェンジ
ボルボ・トラックス・ノース・アメリカ(以下、北米ボルボ)は2024年1月23日、新型「ボルボVNL」トラックを発表した。
広大なアメリカ大陸を駆けるOTR(Over the Road = 長距離輸送)市場に新水準をもたらすという新たなフラッグシップで、米国政府の支援を受けて試作した「スーパートラック2」との類似性も感じさせる。なお、ティーザーサイトを通じてエクステリアなどの一部が先行公開されていた。
走行距離が長く、速度域も高い北米の長距離輸送用トラックは空力性能が燃費に直結する。新型VNLでは空力改善等により最大10%の省燃費化を達成し、併せて市場の課題と要求に応えるべく運転体験の変革にも意欲的だ。北米ボルボのニューリバー・バレー工場で製造し、数か月以内に販売を開始する。
北米ボルボ社長のピーター・ヴォールホーヴ氏のコメントは次の通りだ。
「新型ボルボVNLはデザインが変わっただけではありません。すべてを変革するように設計されています。このトラックの導入は、お客様とドライバーが飛躍的に前進するための、新時代の幕開けとなります。
開発プロジェクトは完全な白紙からスタートし、持続可能性や将来の輸送需要など、この業界とお客様のニーズに影響を与え得るあらゆるトレンドと変革を分析しました。
弊社が1996年に「VN」トラックの第1世代をローンチしたとき、従来にはない流線形の空力ボディというスタイルで北米のトラック業界に新水準をもたらしました。2007年に「I-シフト」AMT(自動化機械式トランスミッション)を導入した当時、大型車で自動変速機が当たり前になることなど、他には誰も考えていませんでした。
新型VNLにより私たちは再びイノベーションをもたらします。この変革は、今後のトラックと運送業界の未来を形作るものです」。
また、新型VNLはこれからのトラックに搭載されるであろう新技術のプラットフォームとなることを目指している。つまり、バッテリー電気駆動や、燃料電池、水素を含む再生可能燃料による内燃エンジンなどだ。
北米の量産型トラックとしては初めて24ボルト電気系統(空調などに電力を供給する)を導入したほか、新世代のアクティブ・セーフティ機能は、完全自動運転トラックを実用化する際にも活用されるだろう。ボルボトラックスが掲げる「排出ゼロ・事故ゼロ」というビジョンにおいて新型VNLは不可欠なものとなる。
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