いすゞ自動車は1月22日、小型トラック「エルフ」に新たなキャビンバリエーションとなる「スペースキャブ」を追加した。キャビン後方部分を延長したバリエーションで、小型トラックでは寸法上困難だった運転席・助手席のシートリクライニング角の拡大を実現、乗員休憩時の快適性を高めた。同社では、ドライバー就労環境を大きく改善する、従来にないキャビンとして提案していく。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/いすゞ自動車、いすゞA&S、フルロード編集部
シートを40度寝かせられる2トン車
トラックのキャビンには、キャブ幅と乗車定員で、それぞれバリエーションがある。キャブ幅には「標準」「ワイド」の2種、エルフの場合は両者の中間となる「ハイキャブ」という独自タイプもあって3種がある。乗車定員では、3名乗りで2ドアのシングルキャブ仕様と、6名乗りで4ドアのダブルキャブ仕様があり、こちらはキャビンの前後長が異なる。
いうまでもなく多数派は、標準・ハイ・ワイドを問わずシングルキャブ仕様だが、ドライバーの背後にバックパネルが迫ることから、シートのリクライニング機能は、実質的にドライビングポジションの調整にしか使えない。
今回エルフに新設定された「スペースキャブ」は、このうち標準キャブ・シングル仕様の後頭部にあたる部分を300mm延長し、室内後方の空間を拡大したものだ。
バックパネルの後退によって、運転席と助手席のシートリクライニング角を約40度まで寝かせることが可能となり、乗員はより快適な姿勢で休憩あるいは仮眠できるようになる。また、シート後方に大きなスペースも確保できるため、精密な工具類、衣類・食品といった手回り品などの積載に充てることもできる。
同様のコンセプトは、ダイハツ ハイゼットジャンボやスズキ スーパーキャリイといった軽トラックでは以前から製品化されているものだが、「2トン車」と俗称される小型トラックの内需車としては、初めての試みという。
スペースキャブの内装
スペースキャブで拡大された室内部分の寸法は、長さ350mm(最小部は250mm)×幅1410mm×高さ760mm(いすゞ社内測定値)。この部分の内装は、サイドパネルとバックパネルの腰板として樹脂製トリムカバーを装着、フロアにはPVC(塩化ビニール)製マットを敷き、さらにその上にカーペットを敷くという仕立てになっている。
また、収納用のボックス・ポケット類は設けられていないものの、純正用品としてスペースキャブ専用の「キャブバックスペーストレイ」を新たに設定、より物品を置きやすくすることが可能だ。
なお、通常の標準キャブと同じくスペースキャブもキャブチルト可能で、エンジンルームの整備性は良好に確保されている。
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