荷主負担のあり方や車両規制の緩和を検討
現在、政府の「グリーンイノベーション基金」において東京と福島を先行地域に選定し水素ステーションの整備が進められている。FCトラックの実証実験は、小型トラックが2025年度までに300台弱、大型トラックが2025年度以降に50台程度を予定する。
しかし、2030年度までの先行的な導入時期においてはすべての面でディーゼル車と同条件になることはかなり困難だ。
従って費用負担のあり方をめぐって省エネ法の改正に伴い新設される予定の判断基準に、非化石転換について運送事業者から要請があった場合の荷主側の費用負担についても協議すべきという考え方の案が示されている。
その改正省エネ法では2030年を目標年度として次のような目安が設定された。
●トラック(GVW8トン以下):保有台数のうち、非化石エネルギー自動車の割合が5%
●バス:保有台数のうち、非化石エネルギー自動車の割合が5%
●タクシー:保有台数のうち、非化石エネルギー自動車の割合が8%
●荷主:使用するトラック(GVW8トン以下)のうち非化石エネルギー自動車の割合が5%
●荷主:BEV・PHEVトラックの使用割合に応じた急速充電器の設置
なお、8トン超のトラック、および充電インフラ等の設置については「今後、検討」としている。
FCVではタンクの圧力を下げると搭載する水素の量が減るため航続距離は減少するが、圧縮水素の製造コストは低減する。圧力を70MPaから35MPaに低下させた場合、エネルギー量が4割減少するいっぽう、燃料は2割安くできる。
このため中・近距離の高稼働走行などにあえて低圧化した水素ガスの導入ポテンシャルがある可能性がある。
軽油はエネルギー密度が高く、燃料としては非常に優れた液体だ。ディーゼルから気体の水素へとエネルギーを転換すると必要な体積が増加し、トラックの積載量が減少する。
大型トラックは基本的に車両の全長規制に合わせた寸法となっているため、水素タンクを搭載すると(海外の先行事例などを見ると運転席の後ろに複数のタンクを横置きする形が多い)、荷台スペース(荷台長)が1メートルほど短くなる。
ディーゼル車と同等水準を目指すのであれば、ドライバー不足等の状況も考慮しつつ、FCトラックの全長規制についての検討が求められる。
特に、大型トラックに単車が多くトレーラ化が遅れている日本は、諸外国よりFCトラックの大型化で不利だ(トラクタ・トレーラのほうが連結全長やキャブバックのスペースに余裕があるため)。
中間とりまとめでは、2022年4月から開始された「特殊車両通行確認制度」(事前登録したトレーラ等が通行可能な道路を即時回答するシステム)の利用を前提とするなど、一般的制限値の規制緩和が必要かどうかも1年以内に検討するとした。
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