東京都は5月15日、CO2を排出しないゼロエミッションビークル(ZEV)の大規模社会実装をめざす「東京プロジェクト」で導入する燃料電池小型トラック(FC小型トラック)の出発式を開催した。FC小型トラックは、いすゞ「エルフ」をベースにCJPTが開発したもので、物流・流通・小売企業など13社が実証運行で参画する。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
水素の商用車利用を推進
出発式では、東京都の潮田勉副知事が「東京プロジェクトで100台以上のFC小型トラックの社会実装を進めることで、水素の商用車利用の拡大し、日本の優れた技術の国際競争力の強化にもつなげる。水素の供給体制についても検討していく。プロジェクトを成功させることで商用車のZEV化に弾みをつけたい」とする都知事のスピーチを代読した。
FC小型トラックを供給するCJPT(Commercial Japan Partnership Technologies、トヨタ自動車といすゞ自動車など4社の合弁会社)の濱村芳彦取締役は「CJPTはカーボンニュートラル社会の実現のため、トラックから軽バンまで商用車を電動化し、幹線輸送からラストワンマイル配送まで、物流効率化とダウンタイム縮減のため、運行管理システムとエネルギーマネジメントシステムも実現していく」と述べた。
また、プロジェクトに参画する物流企業、流通企業、小売企業など13の企業は、事業者共同文として「日本は2050年カーボンニュートラルの実現を目指している。現在のCO2排出量において、運輸部門はそのうち18%を占めている。脱炭素へ向けた早急な対応が必要だ」と表明した。
エルフNPRベースのFC小型トラック
FC小型トラックは、いすゞの小型トラック「エルフNPR」ワイドキャブ2.95トン積ロングボディ・フルフラットローをベースに、トヨタのFCモジュール(FC乗用車「MIRAI」と同一)、日野の高電圧バッテリーユニット(ニッケル水素電池)、豊田合成の水素タンク(容量違いを各1本ずつ計2本)を搭載する。
FCモジュールと高電圧バッテリーを合わせたシステム出力は、最高出力109kW・定格出力80kWで、最大トルク300Nmのセントラルドライブ式モーターを駆動する。水素を圧力70メガパスカルで充填する水素タンクには、重量換算10.5kgの水素が貯蔵でき、航続距離は約260kmとなる。
出発式では、小型FCトラックを架装ベースとする2台の冷凍車(東プレ・トプレック製の電動冷凍ユニットと断熱ボディを架装)が出発シーンを演じたほか、平ボディ車1台を展示したが、社会実装ではドライバン、ウイング車、ボトル運搬車なども運行することになっている。
なお、東京プロジェクト全体では、FC小型トラック約190台のほか、FC大型トラック約50台、小型EVトラック約210台、軽EVバン約70台の計約520台のZEVを導入する計画で、出発式には日野「プロフィア」ベースのFC大型トラック(ウイング車)も展示された。
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