2024年の元日に能登半島で発生し甚大な被害をもたらした能登半島地震。その復興は人手不足等のさまざま問題を抱えながらも、災害ボランティアなどの懸命な活動によって今もなお進められている。
そうした中、世界中で社会貢献活動を積極的に行なってきたトラスミッションメーカー、米・アリソンの日本法人アリソンジャパンは、能登の復旧作業を担う珠洲市に拠点を置く特定非営利活動法人にアリソンATを搭載する中型ダンプトラックを貸与。復旧の支援を行なっている。
能登復旧・復興活動を支援するアリソンジャパンの取り組みを紹介していこう。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/アリソンジャパン、フルロード編集部
能登復興で活躍するアリソンATのダンプトラック
2024年1月に甚大な被害をもたらした能登半島地震で、震源地である珠洲市では一部破損から全壊を含め、78000棟を超える家屋が被災し、102名もの犠牲者を出した地域である。
震災後は、行政のみならず多くの民間災害ボランティアによる復旧作業が進められていたが、2024年9月には石川県全域で豪雨が発生。復旧途中の家屋が倒壊したり、土砂災害が発生したり、新たな被害が次々に発生することとなった。
このような状況を鑑みて、アリソンジャパンは甚大な被害を受けた珠洲市に対して復旧活動の支援ができないか検討を開始。
珠洲市出身者で構成される「関西珠洲会」のメンバーとの繋がりがあった社員の発案で、アリソンATを搭載した中型ダンプトラック(日野レンジャー)1台を珠洲市へ貸与することが決定した。
車両は、アリソン製品を搭載したトラックを数多く導入し、建設業や輸送業向けのレンタル事業を行なう株式会社カナモトを経由し、復旧作業を担い珠洲市に拠点を置く特定非営利活動法人「外浦の未来をつくる会」に2024年11月から貸与された。
アリソンATは、普通車で一般的なトルクコンバーター式ステップATであり、MTやAMT(セミオートマ)に比べるとトラックに不慣れな人でも扱いやすく、トルクコンバーターによる滑らかな走り出しやプラネタリーギアがもたらす段付きのない変速は不整地などにも強い。
今回のダンプトラックは、これまでの約半年間、住宅の敷地内に流入した土砂や倒壊した建物の瓦礫などを運搬するために活用され、アリソンATによる泥濘地や悪路での走破性を活かしながらトラブルなく走行を続けている。
「外浦の未来をつくる会」の理事長、重政辰也氏は、
「破損した道路やインフラの復旧が行政で最優先される中、私有地に蓄積される瓦礫や土砂の処理は住民の喫緊の課題でした。建設用途などでダンプトラックが出払っており、民間でダンプトラックを借りることはほぼ不可能でした。
居宅に流入した土砂や瓦礫などを手押し車や軽トラックなどで少しずつ堆積場まで運搬するには非効率で限界があり、アリソンジャパンが貸し出したダンプトラックで作業効率を格段にあげることができ大変助かっています。
普段は小回りのきく軽トラックを活用して復旧作業を行なっているため、車格の大きい中型トラックを運転するにはかなり気を使うのではないかと感じていましたが、ハンドル操作に集中できるアリソンのオートマ車だと、気軽に運転することができました。
道路の幅員が十分でないところもいまだにある中で、坂道の途中で対向車とすれ違う際、坂道発進はとても気を使うところですが、オートマ車だと乗用車と同じ感覚で発進することができるので、安心して運転しています。
今まで私たちの地域、当団体に関わってくれたすべての人たちに心から感謝申し上げます。復旧・復興共に地域の力だけでは限界がありますが、たくさんの人との『ご縁』のお陰で前に進めております。
元に戻すのではなく、住んでいる人や世の中に必要とされる街づくりを目指して取り組むことで恩返し、恩送りを進めていきたいと存じます」と語っている。
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