住商といすゞがインド小型トラック合弁をマヒンドラへ売却! もとはマツダだったSMLいすゞの異色なヒストリー

マヒンドラ傘下で「スワラジ」の邂逅と復活もありうる?

 SMLIとM&Mは、基本的にはつながりのない企業同士だが、奇妙な縁もある。SML設立時のインド側パートナーであるパンジャブトラクター(PTL)は、2007年に合弁から離脱しているが、その理由はマヒンドラグループに買収されたためだ。

 PTLは09年、マヒンドラに完全に吸収されて企業としては消滅するものの、インドで最初の国産農耕トラクターメーカーという名門中の名門だけに、マヒンドラの「スワラジ・ディヴィジョン(部門)」として農耕トラクター事業を継続することになった。「スワラジ」はPTLのブランドとして、長年にわたって親しまれてきた名称である。

 ちなみにマヒンドラは自身の農耕トラクター事業を有していながら、スワラジ・ディヴィジョンのほかにもヒンダスタントラクター(現トラクスター)、トルコのエルクントといった農耕トラクターメーカーを傘下としており、さらに日本の三菱マヒンドラ農機にも出資するなど、複数の農機ビジネスを展開している。

 計画通りSMLIの買収が実現すると、マヒンドラグループに旧PTLのトラクター事業とトラック事業が(間接的に)集うことにもなるわけだ。SMLIが今後どのような扱いになっていくかは不明だが、トラックでも「スワラジ」ブランドが復活することもありうるだろう(PTL離脱後のSMLは「SML」エンブレムを付けてきた)。

いすゞは世界戦略の自由度が高まる

 ところで、SMLIを売却するいすゞは、実は2012年にいすゞモーターズインディア(IMI)をインド南部で設立しており、現地資本が関わらない体制でのインド事業(パートナー商社は三菱商事)も展開してきた。

 IMIではピックアップとSUVを生産し、独自の販売網からインド市場へ供給、さらに近隣諸国ならびに中東諸国への輸出拠点としても機能している。いすゞグループの海外事業にダイレクトに組み込まれており、IMIの戦略拠点としての重要度は高い。

 SMLIの小型トラックとは競合してこなかったIMIだが、SMLI売却によって事業展開の自由度が高まることは確実で、こちらの今後の動向にも注目が集まりそうだ。

【画像ギャラリー】いずれは融合か統合か? SMLいすゞとM&Mの不思議なトラックたち!(16枚)画像ギャラリー

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