クラス最強のエンジン
搭載するエンジンは、7.2リッター直6ターボの「OM926」で、最高出力281hp・最大トルク1100Nmというスペックは、このクラスで最もハイパワー・ハイトルクとなる。なお、GVW26~35トン車型には、同じOM926でも最高出力241hp・最大トルク850Nmという平均的な仕様を搭載し、セグメントごとに最適化を図っている。これも純国産では、GVWに関わらず同じチューンで通すのが普通だ。
とはいえギア比が総じて低いのは、「4828R」も例外ではない。やはりレンジ切換式シンクロメッシュ付ギアボックスのマニュアル9速(クローラ段+8速)で、定積では1速発進し、2500rpm(レッドゾーンは2700~rpm)くらいまで何度も引っ張って、ようやく7速・グリーンゾーン1200rpm前後・40km/hに落ち着く。しかし印デコ号と比べると、明らかに低回転域でのネバりがある。やはり排気量が大きいほうが乗りやすい。
ブレーキシステムはABS付フルエア式ドラムブレーキで、これも硬い踏み心地のペダルを踏み圧でコントロールする。そして補助ブレーキも排気ブレーキのみだが、ダッシュボード上のシーソースイッチで操作するのが少し変わっている。ちなみに「アクサー」は、クルーズコントロール操作を兼ねたコンビネーションレバー型である(4828Rにはクルコンがない)。
前置きなしで「いいトラック」
「4828R」のステアリングホイールの操舵感は、やや重めだがスッキリした切れ味で、古さや安っぽさを感じさせない。それどころか、車線変更や維持旋回時などで思った通りのラインを忠実に反映するハンドリングの正確さには、むしろクオリティの高さを強く印象づけるものがあった。これは設計だけではなく、コンポーネントや生産・組付の品質も大いに関わってくるところだろう。
走行1万kmと新車に近い状態で、日本車と比べるとシフト操作は重めだが、ギアが入りにくいということはない(筆者の技量不足でシフトミスしたが…)。ギア比が低いので、エアコンの効く密閉した車内とはいえ増速中にはエンジンの透過音が大きく入るが、グリーンゾーンでの巡航時はボリュームも抑えられ、流していると気分がいい。40km/hでスロープ段差に進入すると、もはやこの程度で動じるようなクルマではないという貫禄で、定積時の乗り心地ももちろん良好だった。
「4828R」には、インド車にしては…という前置き不要で「よくできたいいトラック」という印象を受けた。もちろん、日本の大型トラックのほうがよりパワフルで、より静かで、より便利で、より快適で、より質感が高く、より運転しやすいことは明らかで、ADAS(先進ドライバー支援システム)など安全装備の充実度に至っては比べものにならない。しかし、走る機械としての基本的なクオリティは、同じくらいにかなり高いことが感じられたのである。
また、印デコ号シャシーを基準にすると、たとえ鋼製キャブにハイグレードな装備を搭載していたとしても、純国産メーカーがバーラトベンツ車に匹敵するクオリティを実現するのは、決して容易ではないようにも思われた。そのあたりは、純正キャブ同士の中型トラックの試乗編で触れたいと思う。
【画像ギャラリー】これがインドのベンツ・トラック「バーラトベンツ」の大型モデルだ!(5枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方インド・インドネシアのトラック・バス界隈が好きだけど、X社はアショックレイランドか次点でタタだろうなぁ。
バーラトベンツはふそうとも組んでたはずだから、ふそうブランドの車種もあったはず。