ブロックパターンの注意点
メリットがあればデメリットもあるワケで、ブロックの高さ、つまり溝の深さがあればその分路面の噛む力は大きくなるものの、各方面からの応力によってブロック自体の動きも出てきてしまいます。
このブロック自体の動きが行き着く所が、俗に言う「段減り」と「腰砕け」です。
スタッドレスタイヤに多い段減りの正式名称は「ヒール・アンド・トゥ摩耗」ですね。
これはブロックだけが斜めにすり減り、ノコギリみたいに変化していく現象です。タイヤの横に立ってトレッドを上から見た場合に、進行方向側が高く、ブロックの後ろ方向が低くなる減り方のことです。主にフロントタイヤに見られ、駆動力ではない一方向からの力が加えられた場合に起こります。
この摩耗はブロックパターンでは避けれない事象でして、原因はブロック本体の動き(ヨレ)が原因で起こります。
一般的にトラックは重量があり、リアはダブルタイヤですがフロントはシングルです。ブレーキをかけると車両の荷重が前に移動し、それをフロントの左右2本のタイヤで支えなければなりません。制動力でブロックが変形し、一部分に力が集中して、斜めにブロックが減る「ヒール・アンド・トゥ摩耗」へと進行するのです。
これに加えてスタッドレスは夏タイヤより柔らかいゴム質なので、夏タイヤより早く大きく段減りが進行してしまいます。ですので溝の深い新品装着の場合は、なるべく早目にローテーションを実施することで性能維持と偏摩耗の回避が可能です。
空気圧が規定以下に下がっている場合も同様にブロックの動きが大きくなる傾向にあります。運行前点検に加え、月一回程度はエアゲージによる測定とエア補充をオススメします。
ちなみにスタッドレスタイヤは、ブロックの動きから来る偏摩耗やフィーリングの違いに加えて、ゴム本体の構造や水膜除去のためのサイプなど、夏タイヤの排水とは違い、タイヤに水を含んでしまうという特性があります。
従って積雪・凍結していないウエットな路面の場合、夏タイヤよりスリップしやすいので、ドライバーさんは履き替え後に特性を掴むまでの慣らし運転をお願い致します。
【画像ギャラリー】ブロックパターンを採用する大型車用スタッドレスタイヤと「段減り」(4枚)画像ギャラリー
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