【緊急提言】スタッドレスの履き替えで多発!! 相次ぐ大型車の脱輪事故を防げ! 

 また、悲惨な大型車の脱輪事故が起きてしまった。1月12日、群馬県渋川市半田の国道17号で大型ダンプの左後輪からタイヤ2本外れて転がり、歩行者を後ろから直撃し重傷を負わせてしまったのだ。

 このダンプを運行していた会社によると、外れたのは12月上旬に履き替えたスタッドレスタイヤで、ボルトは折れておらず、ナットが外れた状態だったという。また、タイヤ交換は業者に依頼したという。

 実は昨年末、全日本トラック協会から「冬用タイヤ交換作業後の増し締めの徹底について」という協力依頼が各都道府県のトラック協会に出されていた。

 これは昨年12月6日、今回と同じように国道2号線のトンネル内で大型トラックから左後輪2本が脱落し、対向車等に衝突する事故が発生したことを受けたもの。国土交通省の調査で、タイヤ交換後の増し締めやタイヤ専業店からの増し締めに関するアドバイスが一切なかったことが確認されていた。

 そこで「タイヤ交換後、50〜100km走行後の増し締め」の周知徹底を図るべく国交省から関係団体へ協力依頼が発出されていたのである。

 ただ、今回の事故は、その「周知徹底」が届いていなかった残念な例かもしれない。あらためてスタッドレスタイヤへの履き替え後の軸力確保と増し締めの重要性について、現役のタイヤマン・ハマダユキオさんが綴った記事を再掲し、【緊急提言】としたい。

文/フルロード編集部・ハマダユキオ  写真/フルロード編集部・ハマダユキオ
*2021年9月発売「フルロード」第42号より 

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きちんと締めたのになぜ緩むのか?

スタッドレスの履き替え時期に脱輪事故は集中する

 脱輪事故は冬場に集中しております。これはスタッドレスに履き替えが集中し必然的に台数が多くなるためだと思われますが、中でも作業直後よりしばらくしての脱輪事故があるのはなぜでしょう?

 たとえば作業後、数kmでナットが緩むことがあるならば、これは明らかに「締め忘れ」なんです。タイヤ業界を含め整備業界もトラック業界は万年人手不足。一人で何役もこなさなければならない繁忙期には、こういうケースもあります。

タイヤのトレッド部分の「レ点」は締め付けの作業が終わっている申し送り。ハマダさんらが行なっている締め忘れ防止策だ

 作業直後に緩まないならば、すなわち最後まで締め付け作業はできているはずです。締め付け作業が完了しているにもかかわらず緩むのは「軸力」が不充分だったと考えられます。

 ボルトナットの締結で重要なのがこの軸力なんですが、軸力は締め付けトルク値とは違うんですよ。

そもそも軸力とはなにか?

 ナットがボルトにネジ込まれ、車輪でいうならホイールに着座してから規定のトルクで締めて行くと、ナットは対象物に着座しているためそれ以上前には進めず、締め付ける力でボルトが僅かに伸びます。伸ばされたボルトはバネのように縮もうとします。簡単にいえばこの力が軸力です。
 
 軸力は測るのがいろいろ大変なので、軸力の目安として「規定トルク」があり、規定トルクを予めセットしてそれ以上の力を逃がす「トルクレンチ」や、同じく規定トルクに達すると締め付けを止める「トルクセッター」があります。

 ただトルク管理ツールで締め付ければ万事OKというワケではございません。トルクと軸力はイコールではないので、規定トルクで締めても軸力が不充分ですとナットは緩んでしまいます。

 軸力確保の邪魔をする原因として多いのは、ボルトナットの錆び、ネジ部の損傷です。その他はハブとホイールの合わせ、リアならばホイール同士の合わせ面のゴミ、錆びの噛み込み、ハブ当たり面の使用限度を超えた摩耗等です。

ハブの錆びが酷い状態の一例。このままで装着作業した場合、ハブとホイールの間に錆びやゴミが噛んだり、ネジもスムーズに回らず軸力の確保は厳しい

 新車トラックに新品パーツならば、錆びやゴミも付着しておらず、当たり面の摩耗も無いため密着しております。ところが、使用過程で錆びが発生したり、ホイールの塗幕が剥がれたり、ハブの当たり面の摩耗が進行していきます。

 本来密着しなければならない所に異物等による隙間ができると、結果、軸力の低下を招いてしまいます。タイヤ交換時はトルク管理だけではなく、こういったリスクを減らす作業も肝要でございます。

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