いよいよウインターシーズン到来。となれば、タイヤもスタッドレスへの履き替えを急がなければならない時期ですね。
トラック・バス用タイヤのプロのサービスマン・ハマダユキオさんに、知っておきたいスタッドレスタイヤへの履き替えの最新事情を聞きました。
文/ハマダユキオ、写真・イラスト/トラックマガジン「フルロード」編集部、ハマダユキオ
予約制で作業はスムーズになりつつあるが……
スタッドレスタイヤへの履き替え……。雪国はもちろんですが、非降雪地域でも長距離や定期便などで早目にスタッドレスタイヤに履き替える会社も多いと思います。
我々タイヤ屋の現場では、この時期のタイヤ交換が本数・台数ともに年間を通して一番多い時期となります。ですので、ちょっとしたトラブルやトラブル未然のモノ、確認待ちなどで作業が滞ることがあり、予約作業にも支障が発生することがございます。
働き改革でタイヤ業界にも予約制が浸透しつつあり、以前の繁忙期に比べると一日の作業量は格段に減りましたが、やむを得ず予約1台分の枠に2台入れたり業務時間内での作業完了を目指した場合、かなり濃い一日になったりします。
予約1台分の時間は決まっており(店舗によって時間枠はまちまち)、その時間内に問題なく順調に作業を進められれば一日の仕事が定時で終わるという算段で予約を組んで行きます。
装着するタイヤのパターンや、新品タイヤを使用するのか、あるいは昨年の外し保管タイヤを使用するのか、新品と保管タイヤを混ぜて装着する場合は何処に新品を装着するのか、装着する車番等、スムーズに作業が完了するようにいくつもの対策はするのですが、それでもやはりひとシーズンに数件、「これ、どうすんの?」っていう空虚な時間が発生する場合があります。
ユーザー様もトラックを動かせない時間は減らしたいはずなので、事例を紹介したいのですが、その前にスタッドレスタイヤの「新品在庫」については説明が必要です。
スタッドレスタイヤの在庫事情
スタッドレスタイヤは、夏タイヤのようにメインサイズを各店舗が好きなだけ注文、在庫できるワケではありません。
夏のまだ暑い時期に「意向調査」といって各ユーザーさんに今シーズン購入する必要なスタッドレスタイヤの本数を出してもらい、それを各店舗、地区で纏めて、製造メーカーに申請を出します。しかし、必ずしも各店舗の希望通りの本数が割り当てられるワケではなく、与えられた枠の中でしか発注できないんですね。
なので、新品のスタッドレスタイヤは数が決まっていて、ギリギリどころか足りない場合もあるんです。そういった事態に陥ったら、他店舗や他地区のキャンセル分などをかき集めて対応することになります。
リトレッドタイヤも同様で、履き替えシーズンからの台タイヤ回収製造は年内納品はむずかしいことが多く、早くて年明けという感じです。各店舗、この時期の回収分は来季装着分として対応しております。
逆に言えば、早目に製造しておけば来季分の大まかな本数は夏くらいまでには確保もできますので、リトレッドタイヤ使用ユーザーさんの側から、来季分の製造をお願いするのも良いでしょう。
タイヤの在庫状況にはそういう事情があり、突然の発注・装着依頼は厳しい事がありますので、ご了承くださいませ、……というのを踏まえてお話します。
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