トラック用タイヤは、用途や路面状況によってトレッドパターンが使い分けられています。
リブとラグとリブラグ、それにブロックの4パターンですが、どんな違いがあるのでしょうか?
商用車用タイヤのサービスマンであるハマダユキオさんに解説してもらいました。
文・イラスト/ハマダユキオ、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
進化するタイヤ、トレッドパターンは4タイプ
タイヤは材質や生産技術の向上で進化しています。
スタッドレスタイヤのように、混ざりにくい材質同士を結合させたり複雑なトレッドパターンを採用し、飛躍的に雪、氷に強いタイヤに進化しております。
この瞬間も世界中の各タイヤメーカーさんが日々切磋琢磨して研究しているのですが、ただ、すべての路面、すべての使用条件で全部の性能が満点のタイヤはまだありません。
乾燥した路面、雨、雪、泥濘、氷雪路など、どこを走ろうともスリップすることなく長期間擦り減ることもなく走れるタイヤができれば、これは現在の空気入りゴムタイヤとしては一つのゴールなのではないかと思います。
生産財のジャンルでこのようなタイヤが誕生すれば、これは世界的に爆発的に売れることでしょう! その代わり我々タイヤ屋の現場の仕事も恐らく激減することは間違いないですが……。
閑話休題。今回はタイヤのトレッドパターンについてお話しましょう。
パターンの種類は大きく分けて4種類、すなわちリブ、ラグ、リブラグ、ブロックです。
リブとラグとリブラグの違い
まずはリブですが、これは縦溝のパターンです。
リブは肋骨、補強のための直角部材という意味ですが、タイヤでいうなら格子という意味が適切かもしれません。
溝が回転方向に対してまっすぐで、横方向は細かい溝がある程度ですね。連続したトレッドの山で、旋回中でも連続して路面に接地しているので横滑りに強いパターンです。
また、ゴツゴツしたパターンでは無いので走行音が少なく、バス等に多用されます。ヒール&トゥー、俗に言う「段減り」も少なく、パターンノイズや振動が少ないなどの特性から、高速道路メインの車両やバス等に多く使用されます。
ちなみに観光バスで後述するブロックパターンを履いてるユーザーさんのお話だと、お客様から「走行音がうるさい!」とクレームがあったとか。
ラグは俗に言うゲタ山です。
ラグとは〜を引っ張る、力まかせに引くという意味です。つまりトラクション重視のパターンですね。
ラグパターンのタイヤは、現在ですと自衛隊の車両とかフォークリフトや特殊車両、ダンプの一部で見ることができます。
ゴツゴツした外観で、回転方向に対して横から見ると、深い溝やブロックの形状が下駄に見えるから「ゲタ山」と呼ばれています。ベテランのドライバーさんや整備士、タイヤ屋は聞き慣れた呼称だと思います。
道路の整備が進み、「酷道」も少なくなって、深い横方向の溝で路面を掴むトラクション性能がそんなに必要ではなくなった現在では、一般的なトラックに履くことは皆無になりました。
ただ、ダンプ用タイヤの一部や特殊車両、フォークリフト等は、不整地でのトラクション確保が必要なため、ラグパターンは少なくなったとはいえ不整地を安全に運行、作業するには不可欠なパターンです。
リブラグはリブとラグの良いところを取ったパターンです。
リブの操縦安定性、横滑り防止とラグの牽引力、制動力を備えてます。当然リブ寄りのラグパターンですので、ラグより地面を「掴む」力は強力ではないものの、舗装路メインで現場の未舗装路に入るダンプなどに多用されることから、通称「ダンプ溝、ダンプ山」と呼ばれています。
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