ロードサービス事業&レッカー架装事業を展開するヤマグチレッカーが、米国ミラー・インダストリーズ社のスライド重機運搬車の販売を開始。昨年5月開催の「ジャパントラックショー2024」でお披露目された1号車を取材したぞ!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
2024年9月発売「フルロード」VOL.54より
国内初上陸となるミラー社のスライド重機運搬車とは?
ヤマグチレッカーはロードサービス事業およびレッカー車架装事業を手がける会社。同社が製作するレッカー車は米国ミラー社製レッカー装置に自社製ボディを組み合わせたもので、フレーム補強等のシャシー改造やボディ架装は横浜市内の本社工場で行なっている。
ジャパントラックショー2024に出品されたスライド重機運搬車も、このレッカー車架装と同じ手法で製作されたもの。ベース車両はUDトラックス・クオンの4軸低床車型CGのリアエアサスシャシーで、独自のノウハウを駆使したシャシー改造を施している。
架装されるスライド重機運搬ボディは「センチュリー30シリーズキャリア」と呼ばれるもの。センチュリーはミラー社のレッカー装置ブランドの一つ。30シリーズとは荷台許容荷重3万ポンド(約13.6トン)を示しており、北米仕様には「20」「40」もある。
30シリーズの日本向けラインナップは荷台長24フィート(約7.3m)、26フィート(約7.9m)、29フィート(約8.8m)、30フィート(約9.1m)の4種。取材車両は30フィート仕様だ。荷台幅は北米仕様だと2.5mを超えるが、日本向けは2.47mのナロー仕様となっている。
スライド機構は油圧式で、荷台スライド用に2本、荷台起伏用に2本の複動式シリンダーを装備。リアオーバーハング部には、積み降ろし時の安定性を高める油圧ドックスタビライザー(支持脚)も備わる。
その他の主なスペックは、車両全長が11.6m、走行時荷台床面地上高が1200mm、最大積載量10800kgとなっている。
道板なしで重機が積めます! 合理的なアメリカン重機運搬車はいかが?
ミラー社製キャリアは、耐久性の高さが持ち味の一つ。荷台構造は、高さ203mmの工型鋼(Iビーム)をメイン縦根太とし、その上に幅50.8mm×高さ101.6mmコルテン鋼管の横根太を152.4mmピッチで配したもの。横根太を囲う台枠は、幅117.6mm×高さ101.6mmのアングル材だ。
標準フロア仕様は板厚4.7mmのスチール縞板製だが、取材車両はメーカーオプションのアピトン材張りを採用。台枠上部には同じくメーカーオプションのD型フックリングを7対設置。このほかにも北米流の荷台オプションが用意されている。荷台前端には油圧ウインチも標準装備される。
センチュリーキャリアの特徴は、国産のスライド式やジャッキ式の重機運搬車に見られる道板を使わずに積荷を積み組む点。荷台傾斜角は11.5度で、荷台後端部をクサビ形として段差を最小化。道板なしでも優れた乗降性を確保している。
荷台前端とシャシー側面の収納庫はヤマグチレッカーのオリジナルで、チェーンやラッシングベルト、荷締機、フック、などの作業ツールを収納可能。顧客の希望に応じ、サイズなどはオーダーメイド可能だ。
ミラー社は世界最大のスライド車載車メーカーであり、ボディは量産体制でつくられている。ヤマグチレッカーによると、受注〜納車までの期間は1年半ほどとの見通しとのことで、この種のクルマとしては比較的短い。ジャパントラックショー2024でも重機運搬車ユーザーの関心が高かったそうだ。
【画像ギャラリー】重機運搬車ユーザー注目! ミラー社のセンチュリー30シリーズキャリアのディティールをチェック!!!(12枚)画像ギャラリー
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