神奈川県平塚市の美川ボデーが製作した重機回送車は、荷台にスウェーデン鋼「HARDOX 450」を採用。スウェーデン鋼製荷台の製作実績が豊富な同社でもHARDOX 450の採用は初めてというが、一体どんな狙いがあるのか? さっそく実車をレポートした!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2023年12月発売「フルロード」第51号より
強度と積載量を両立するための「HARDOX 450」
今回紹介する「オールスウェーデン鋼重機回送車」は、神奈川県横浜市の「マルシン自動車商会」が導入したもの。
同社はトラック、バス、重機の販売/買取をメインで行なう会社。近年はレンタル会社やリース会社が保有する重機の回送業務(重機を現場に届けたり、車庫に戻したりする業務)にも力を入れており、営業エリアは関東を中心に日本全国におよぶ。
ドライバーを大切にする社風で、「常に最新装備の車両に乗ってほしい」という考え方から、車両の入れ替えをハイペースで行なうのが持ち味。今回の車両は2018年に導入した車両の代替車という。
開発コンセプトは「積載量が取れて、使いやすくて、カッコいい」で、特に積載量については、得意先のレンタル会社が保有する機種で一番重たい13500kgの重機を積めること、が目標とされた。
この目標値を一般の鋼板で実現しようとすると、板厚を限界まで薄くしなくてはならず、強度面で不安があったため、板厚を薄くしても一般の鋼板と同等の強度を確保できる「HARDOX 450」を採用したという。
徹底的な軽量化で目標の積載量を達成!
ベース車両は三菱ふそうスーパーグレートFS系GVW25トン級4軸低床8×4リアエアサスシャシーのフルキャブ/標準ルーフ仕様。
荷台はアオリレスの平ボディ型で、重機回送車の定番装備である荷台傾斜装置はタダノ製の「鳥居一体型セルフローダー」を搭載。美川ボデーオリジナル仕様の鳥居は、背面に6パネルのキー付き防水ドアをはじめ、ワイヤーフック、ウインチ、LED作業灯などを備える。
と、ここまでは一般的な重機回送車とほとんど同じだが、この車両の凄いところは、この荷台仕様を加工が極めて困難とされるHARDOX 450で成立させている点だ。
まずシャシーフレームと荷台を繋ぐサブフレームは、一般鋼板製の縦根太の上に、HARDOX 450製の横根太を重ねるハイブリッド仕様を採用。床もアピトン材をベースに、摩耗しやすい箇所にHARDOX 450を用いるハイブリッド仕様となっている。
さらに、荷台の「たわみ量」に影響をおよぼす台枠(床枠)は100パーセントHARDOX 450で製作。あまりの硬さに社内では加工が困難なため、専門の加工業者に曲げ加工してもらった特注品を使用しているという。
こうして荷台全体にHARDOX 450を用いて板厚を極限まで薄くした結果、同車両は一般鋼板製ボディと同等の強度を保ちつつ、目標の積載量を確保することに成功した(最大積載量13500kg)。
なお、荷台寸法は内法長9340mm×内法幅2470mmで、床面地上高は縦根太を通常より薄くすることで1050mmを確保している。
【画像ギャラリー】荷台のこだわりも凄いぞ!! 美川ボデーの「オールスウェーデン鋼重機回送車」のディティールをチェック!!(11枚)画像ギャラリー
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