乗って使って新型スカニアを徹底検証!! 現役トラックドライバーによる忖度なしレポート

■マルチディスプレイと電動駐車ブレーキの評価

 マルチディスプレイはさまざまな情報を画面上に呼び出すことができる。メイン画面の上下に「バナー」のような領域が4つあり、ドライバーの好みや仕事の状況に応じて設定を変えられる。

1.瞬間燃費:道路の勾配やエンジンへの負荷、始動直後の暖機状態を見るのに役立つ。

2.軸重計:重量物積み付け時の搭載位置決め、軸重オーバー防止に役立つ

3.エアサス調整:運転席右横のリモコンと、インパネ右側のボタンの双方で操作可能。可動範囲はリアで、標準高よりマイナス35mm~プラス175mm(車種による)。

スカニアのマルチインフォメーションディスプレイ
スカニアのマルチインフォメーションディスプレイ

 エアサスの高さはインパネにも表示され、メモリー登録した高さには走行中にもボタン一つで変更可能。シャシー脱着時のほか、樹木が垂れ下がった道路をくぐる時や段差乗り越え時に瞬時に対応可能である。

 新型デビュー以降のマイナーチェンジで、電動駐車ブレーキが採用された。乗用車でも世界的に採用が広がっているものだ。

 操作方法は、従来のレバーからインパネ上の平面的なノブに変わった。上側のノブを手前に軽く引くと駐車ブレーキが掛かり、赤いインジケーターが点灯。奥に押し込むと駐車ブレーキは解除される。ただしフットブレーキを踏んでいないと解除しない。

 大きな作動音がしないため、最初は「本当に掛かっているのか?」と戸惑うが、電動化には「省力化」と「掛け忘れ防止」のメリットがあるようだ。

 ノブの下の小さ目のボタンを押すと緑色のランプが点灯し「オートモード」が選択できる。オートモードでは、フットブレーキを強めに踏むと駐車ブレーキが掛かり、ギアを入れてアクセルを踏み込むだけで自動的に解除される。

 また、停止した状態でキャビンのドアを開けると自動的に駐車ブレーキが掛かり、「かけ忘れ」でクルマから離れることを防止する。ただし、微妙なバックなど、ドアを開けたまま走り、そのまま車外に出ると駐車ブレーキは掛からないので注意が必要だ。

■スイッチ類の使い勝手

 新型のヘッドランプスイッチはインパネからドアに移動した。ヘッドランプはエンジンキーONでLEDが点灯する「デイライト」を標準装備している。ヘッドランプレベライザー、ミラー調整スイッチ、ミラーヒーター、ドアロックなどのスイッチも運転席ドアの上部に付いている。

 ドアスイッチは見やすいという利点もあるが、雨の日の開閉時には濡れてしまう。その雨滴を吹き飛ばすために、運転席右脇に高圧エアーのノズル(=エアーダスター)を装備している。これは、車内の清掃にも使えてたいへん便利だ。

 考えてみれば、シートサスやランバーサポートのために高圧エアは運転席付近まで来ているわけであり、国産トラックも真似しない手はないと思う。

 オーディオも最近の乗用車のように大画面化している。残念ながら試していないが、アップルのiPhoneなら携帯とBluetooth室内通話、ディスプレイを連携することができる。オーディオはステアリングスイッチでも操作可能で、ボリューム、選局、ミュート、携帯電話着信などの操作ができる。

 日野のトラックに乗り換えると「せっかく十字キーがあるのになんでオーディオと連携していないんだろう?」と思ってしまう。

 ひとつだけ注文をつけるとしたら、オーディオパネルの下にエアコンパネルがあるのだが、オーディオは左のダイヤルが「音量」、エアコンは逆に右のダイヤルが「風量」である。

 人間工学的には、「強さ」に関わる2つのダイヤルは両方ともドライバーに近い右側に統一するのが合っている気がする。

 トラックメーカーは、電装メーカーなどが個別に開発したデバイスをただ寄せ集めて搭載するのではなく、デバイスも含めて統一感のあるコンセプトの元にクルマを開発して欲しいと思う。

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