重大・悪質な法令違反と相互通報
いっぽう、令和4年に重大・悪質な労働基準関係法令違反が認められた事案として、労働基準監督機関が送検した件数は44件だった(前年は32件)。
これも実際の事例を紹介すると、次のようなものだ。
● トラック事業者の営業所に監督指導を実施したところ、同営業所の36協定で定める延長時間を超えて、1か月最大約145時間、1日最大13時間27分の時間外労働を行なわせていたほか、他の運転者についても1か月80時間を超える時間外労働を行なわせていた。
● この営業所では、3年前の監督指導時においても違法な時間外労働について是正勧告されており、さらに3年前の監督指導時にも同様の実態があり、繰り返しの法令違反が疑われた。
同種の違反を繰り返し、トラックドライバーに違法な時間外労働を行なわせたとして、事業場(法人)と営業所長が労働基準法第32条違反の疑いで送検された。
なお、労働条件の改善を図るため、労働基準監督機関(厚労省)と地方運輸機関(国交省)が、その監督等の結果を相互に通報する制度があり、労働基準監督機関から通報した件数は令和4年は556件(前年は469件)、通報を受けた件数は297件(同325件)だった。また、効果的な指導のために合同での監督・監査を行なっており、令和4年は合同監督・監査を88件(前年は102件)行なった。
2024年問題が迫るなか、厚労省は改善基準告示の改正に伴い、都道府県労働局に「荷主特別対策チーム」を編成し、長時間の恒常的な荷待ちを発生させないこと等について、発着荷主等に対して要請する取組を行なっている。
いっぽう国交省も今年、トラック荷主特別対策室、通称「トラックGメン」を創設した。違反が疑われる荷主への「働きかけ」「要請」に加えて、改善が見られない場合の「勧告・公表」、さらに公正取引委員会への「通知」も行なうという。
2024年問題を背景に、悪質な荷主を正す制度が整えられた。今後は運送会社やトラックドライバーが自ら動く事も重要になりそうだ。
【画像ギャラリー】違法な長時間労働がまだまだ残るトラック運送業界(6枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方24年問題、今のうちみたいな!、誰か死なんとわからんわ。
帰り荷貰って帰ってくるトラックなんてほぼムリでしょ。
現状今日も01:00に出発、18:10積み込み完了、運行終了でアウトだし。
荷主の待たせる行為は罰則付けなきゃ改善はしない。
いくら法令で運行時間決めても荷主、荷受にはハッキリ言って関係ないのだから。
何を違反だの言っても何せこの国の
労基署は段階踏まなきゃ動かないんだから使えないよ。