60年以上の実績と、1000種類を超えるアタッチメントにより多目的作業車の代名詞となっているメルセデス・ベンツのオフロードトラック「ウニモグ」は、日本国内でも除雪や災害対策に活躍している。
オフロード車に車高の高さはつきものだが、作業の安全性や効率を考えると荷台は低いほうが良い。このたび全高や荷台地上高を低く抑えた小さなウニモグがラインナップに加えられた。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG
小さなイノベーション「ウニモグ・ロー」誕生
ダイムラー・トラックグループに属するメルセデス・ベンツ・スペシャル・トラックスは2025年6月23日、オフロード多目的作業車の代名詞となっている「ウニモグ」シリーズのポートフォリオを拡大すると発表した。
シリーズに追加されるのは荷台の高さなどを低く抑えた「小さなウニモグ」だ。
新型「ウニモグ U219 ロー」(以下、ウニモグ・ロー)は、エッガースのプラットフォームと組み合わせることで、荷台の地上高を1.2メートル未満に抑えることに成功した。これは従来のウニモグU219シリーズより約20センチ低く、荷台への積み下ろしが著しく容易になるという。
車両側でフレームのハイトを下げるとともに、適切なホイール/タイヤ(サイズは295/60 R22.5または275/70 R22.5)を組み合わせることで実現したもので、総重量は従来と変わらず最大10トンとなる。
ウニモグ・ローの専用プラットフォームはパートナー企業のエッガースが開発しており、より人間工学に基づいた積み下ろしを実現するために協力が不可欠だった。
最も低いバージョンは、プラットフォームの床面がフレームの上面からわずか14センチの高さにある。このプラットフォームは荷台を3方向(後方と左右)に傾斜可能ないわゆる「三転ダンプ」として設計されており、内寸は長さ2.22メートル、幅2.1メートルとなっている。
フロントウォールのデザインやサイドアオリの高さなどは顧客の要望に合わせて設計可能だという。
最新の操作システムも利用可能
ウニモグ・ローのコンセプトは、特に公共事業や建設現場などで利点が多い。機器や資材の荷卸し、土砂や砂利の積み込みなど、狭い現場での作業に無駄なスペースは1センチもない。
人間工学において安全に作業できる高さは「パワーゾーン」と呼ばれ、一般に太ももから胸の高さとされる。これを超える高さやより低い位置での作業は怪我や事故のリスクが高い。ウニモグ・ローの荷台の低さは、より人間工学に基づいた効率的で安全な作業にも役立つ。
また、ウニモグ向けの最新の操作システムとなる「ユニタッチ」もウニモグ・ローに搭載される。様々なアタッチメントによる多目的作業はウニモグの本領だが、ユニタッチはその操作をより直感的に、効率的かつ快適にサポートする。
ユニタッチではタッチスクリーンを使用してそれぞれの作業ごとに適した設定を行なったり、ボタンに個別の機能を割り当てたり、繰り返し実行する処理の保存や呼び出しが簡単にできるようになっている。
さらに、オプションの多機能ジョイスティックは、作業内容に応じて運転席のほか助手席側にも設定できるようになった。
なお、メルセデス・ベンツは2025年6月にドイツで開催されたグリーン産業向け屋外展示会「デモパーク」に多数のウニモグを出展しており、新しいウニモグ・ローの展示のほか、ユニタッチのライブプレゼンテーションなども実施した。
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