トヨタの燃料電池パワートレーンがカリフォルニアで認定取得!! 2023年後半よりケンタッキー工場でトラック用モジュールを生産予定

北米で燃料電池大型トラックに注力してきたトヨタ

 トヨタの水素による大型トラック用パワートレーンを開発するための努力は、2017年の「プロジェクト・ポータル」にさかのぼる。それ以来、数世代のパワートレーンを開発してきた。ロサンゼルス港で、累計14000マイル(約2.3万km)を走ったアルファおよびベータトラックもその一つだ。

 中でも、米国の大手トラックメーカー・ケンワースとともに行なった実証実験は、水素パワートレーンが港湾におけるドレージ輸送(トレーラによる港からの陸送)などの実運用にも耐えうるという、最も優れた例となった。

 これはロサンゼルス港における実証デモンストレーションであり、排出ゼロないしほぼゼロの貨物輸送を目指した「ショア・トゥ・ストア」(港湾からお店まで)プロジェクト(ZANZEFF)の一環だった。

 このプロジェクトでは、「オーシャン」と名付けられた燃料電池大型トラックのプロトタイプが10台製造された。ベース車はケンワースのクラス8トラック「T680」で、実際に顧客の元での運用を行ない、インフラ面ではシェルのサポートを受けて、ロサンゼルス港やロングビーチ港からロサンゼルス盆地(LAベイスン)内での貨物輸送を行なった。

 トヨタUSAとケンワースは2022年にプロジェクトの完了を発表しており、FCEVトラックの商用化に向けた動きが注目されていた。

北米のトラックメーカー2社がトヨタのパワートレーンを採用

大型車ではトヨタはサプライヤーに徹する? 北米で大型トラック用の新型燃料電池パワートレーン提供へ
こちらはトヨタ・ミライ(北米仕様・2023年型)に搭載される燃料電池

 そんな中、この度のCARBによる認定と、新世代パワートレーンキットを2023年中に製造開始するという発表があった。

 商用化に向けて準備が整った新型パワートレーンは、トヨタUSAのケンタッキー工場で2023年の後半から製造を開始する。この最新世代のパワートレーンは、エネルギー効率やパッケージのサイズなどに、車両開発と実運用を通じて得られた多くの知見を反映しているという。

 また、この発表から約1週間後にカリフォルニア州でクリーントラックの展示会「ACTエキスポ」が開催されたが、これに合わせて大手商用車グループであるパッカーとトヨタの戦略提携強化が発表され、パッカー傘下の米国のトラックメーカー2社(ケンワースとピータービルト)がトヨタ製パワートレーンを搭載する大型FCEVトラックを発売した。

 両社のFCEVは2024年中に最初の納車を行ない、2025年中に量産化するというスケジュールで、北米市場では「コンセプト」や「実証実験」というフェーズを過ぎて、一般の顧客(運送会社)に向けた大型FCEVの商用化が既に動き出している(欧州市場も同様)。

 燃料電池パワートレーンは、BEVなどの全電動パワートレーンと比較すると中・大型トラックに向いた特性を持っている。バッテリーより軽いためより多くの積載量を確保でき、水素の充填時間はディーゼル車と同等なので高い稼働率が期待できる。

 こうした燃料電池の重要性についてトヨタUSAの先進モビリティ・エグゼクティブ・プログラム・マネージャーのクリス・ロービク氏は次のように話している。

 「大型車による輸送において、水素は重要な役割を果たすと確信しています。なぜなら航続距離やパワー、燃料の補充時間などを犠牲にすることがないため、(BEVトラックとは異なり)運行管理者やドライバーが今の仕事をそのまま続けられるからです。

 また、燃料電池技術はスケーラブルであり、水素社会が進展するにつれ、脱炭素という戦いにおいて燃料電池の重要性はますます明らかになるでしょう」。

 トヨタにおける水素燃料電池技術の開発は、30年近くに及んでいる。「ミライ」によって乗用車市場で世界初の量産型燃料電池車を製造したトヨタは、この技術を北米の大型トラックという別の領域にスケーリングすることを目指している。

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