2018年に日本デビューした新型スカニア、いわゆるネクストジェネレーション・スカニアは、旧型の「スカニアらしさ」を踏襲しつつも、エンジン、シャシー、キャビンのすべてを21年ぶりに一新させたもの。
実際に仕事で新型スカニアに乗っているトラックドライバーの長野潤一さんに、その乗り味、使い勝手などを旧型と比較しつつレポートしてもらった。
文/長野潤一 写真/長野潤一・フルロード編集部
*2021年12月発行トラックマガジン「フルロード」第43号より
■印象が変わった足回り/エンジン音/ハンドル
ニュージェネレーションスカニアはデザイン的には「ラウンド」から「直線的」に変わった。乗り換えて印象が変わったのは大きく3点だ。
1.足回りがよくなった。
2.エンジン音の心地よさ。大袈裟にいえばフェラーリのような乾燥した排気音がする。
3.F1のように下端が直線状になったステアリング(D型ステアリング)。近年は乗用車でも採用されることが多くなったが、「よーし、仕事やるぞ!」という雰囲気にさせる。
さらに2点をつけ加えるなら、
1.燃費のさらなる向上。もともと良い燃費は、さらに良くなっている。
2.キャビンの収納性。欧州車ならではのキャビン内で立って歩ける広さはそのままに、収納性をさらに拡大した。
■走行性能と異次元の燃費
スカニアの特徴のひとつに好燃費がある。旧型でも平均リッター3.6km(実車時のトレーラ)と、国産10t単車に匹敵していたが、新型では平均4.4kmと燃費は2割ほどよくなった。
4t程度の軽い荷物での運行ならリッター5.0kmをたたき出し、もはや国産の中型トラックに相当する低燃費である。決してEVや水素カーといった最先端のエコカーではないが、近年大きく取り上げられている環境対策、CO2削減やSDGsにも少なからず貢献するのではないだろうか。
20t程度の重めの荷物ではリッター3.8km程度にとどまる。アドブルーの消費は多めで、旧型(中期)が軽油100リッター消費に対してアドブルー約2リッターのところ、新型では5リッターほど消費する。
ギア比がハイギアード化されたことも燃費向上に寄与している。80km/h・12速での回転数は、旧型が1250回転、新型で1000回転ほどである。新型の12速は、旧型に13速が付いているようなものである。
旧型では高速道路の多少の坂道は12速に入ったまま力強く走破したものの、新型では11/12速間の行ったり来たりを繰り返す。もちろん、これらはAMTで自動的に行なわれる。しかし、トラックがGPS連動で地形の上り下りを予測しているわけではないので、多少ギクシャクすることもある。
そうした時は、変速を「A」(オート)から「M」(マニュアル)に切り替えることも可能。インパネ上に瞬間燃費表示させると、概ねリッター4km/hは平地、それ以下は上り坂である。上り坂で11速に落とすことで、エンジンにかかる負荷を抑え、寿命を伸ばすことにもつながるだろう。
また、スカニアの12速AMTは、実はその下に微速前進用の「CH」(クローラー・ハイ)、「CL」(クローラー・ロー)の2段があり、実質14段なのである。
足回りは、冒頭でも触れた通り大きく改善され、もはや乗用車のような乗り心地を実現している。トラクタは旧型時代から総輪エアサスが選択できる。ヘッド単体での走行は車種本来の使用方法ではないが、このような場合に轍のある荒れた路面を通過しても、旧型のよう激しいバンプはなく滑らかである。
スカニアは前輪に315/70R22・5という大径タイヤを使用しているが、このことが乗り心地の向上と走行の安定性に繋がっていると感じる。
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