怒鳴られ過ぎて心身ともにボロボロ……!? 30歳でいきなり海コンの世界に飛び込んだトレーラ運転手が語る新人時代

怒鳴られ過ぎて心身ともにボロボロ……!? 30歳でいきなり海コンの世界に飛び込んだトレーラ運転手が語る新人時代

 現在横浜港を拠点に海上コンテナ・トレーラ運転手をしているヒロさんは、一般の会社員を経て、30歳で畑違いの海コン運転手の世界へ飛び込むという、ちょっと異質な経歴をもつドライバーさんだ。

 新人時代は当然、海コン運転手のルールも知らなければバックもできず。先輩達からは怒鳴られる毎日……。そんなヒロさんに新人時代のエピソードをお聞きした。

文/海コン運転手ヒロさん、写真/ヒロさん・トラックマガジン「フルロード編集部」
※2023年6月発行 トラックマガジン「フルロード」第49号より

ヒロさんが海コン運転手になったきっかけ

ヒロさんは現在、海コンドライバー歴20年のベテランだ
ヒロさんは現在、海コンドライバー歴20年のベテランだ

 新人時代かぁ……、思い出したくもない(笑)。自分は、横浜港を拠点に、国際海上コンテナをトレーラで運ぶ運転手、いわゆる「海コン運転手」ってヤツをやっているんですけど、この業界に足を踏み入れたのは、年齢で言えば、ちょうど30歳の時、2002年の8月7日(火曜日)のことでした。

 あれから、もう21年も経つんだなぁ、体はイロイロと衰えて来るし、頭皮からは毛髪が次々と旅立って行くワケだ(笑)。

 そもそも、なんで海コン運転手になったかといいますと、小さい頃から、海コンというかトレーラ運転手に対して、なんとなく「憧れ」みたいなモノを持っていたからです。自分が生まれ育ったのは、横浜市神奈川区片倉町、今では「町」が取れて「片倉」になっているところです。

 片倉も今じゃけっこう発展していると思うんですけど、地下鉄の駅なんかは、自分が中学生の頃にやっとできた感じだし、昔はまぁまぁな田舎っプリでした。

 そんな片倉の自宅から2〜3キロ圏内には、海コンをやっている運送会社が何社かありました。ヘッド置き場もあったし、いわゆる「新横浜通り」や「コンテナ街道」に行けば、ケツを引っ張って走る海コンや、アタマだけで走るトレーラヘッドを目にすることが多かったので、比較的、海コンに対しては馴染みがあったんですよ。

 今となってはなんとも思わないんですけど(笑)、全長約16.5m、全幅約2.5m、全高約4.1mの巨大な車体を操る姿には、「憧れ」や「尊敬」みたいな気持ちを抱いていました。

 時は流れ、早生まれなので18歳の1月からだったんですけど、コンピュータのプリント基板の設計をしている会社に就職しまして、そこでCADを使った設計やら、シミュレーション(ノイズ解析)やら、システム管理やらをやっていました。

  11年間勤めましたが、イロイロと嫌になり、先のことはまったく決まってない状態で会社を辞めてしまいました。「この先、どーすっかなぁ……」なんて思っていた時に「そうだ、海コン運転手になろう!」と思い立ちます。

30歳でいきなり海コン運転手デビュー!!

 そこからスグに自動車学校に通い、大型とけん引の免許を取りましたが、トレーラはおろかトラックも教習所以外では、一切運転したことがなかったので、就職活動は大変でした。

 今じゃ「俺、あんな会社にすら断られたんだ(笑)」なんてところにも門前払いを喰らいましたよ。ようやく「面接だけなら……」という会社が現れ、フツーにスーツにネクタイ姿で行ったんですけど、その会社の実質トップだった専務と男性事務員1人、運転手が5人くらい居たんだっけな? 一同にドン引きされました(笑)。

 「スーツ着て面接来たヤツ、お前が初めてだよ。何かのセールスマンかと思ったよ」なんて言われながら、面接が始まったんですけど、「トラックすら乗ったことないのに、いきなり海コンはムリだよ」とか「他の仕事を探したほうがいいんじゃない?」とか「キツイ仕事だぞ」とか、面接ってよりは、諦めさせるような説得が続きました。

 それだけ言われるとコッチも諦めの気持ちになります。しかし、不採用決定状態で面接が終わりかけた時に、事態が急転します。

 専務から何気なく「クルマ、何乗ってんの?」って聞かれたんで、当時、日産のスカイラインR34 GT‐Rってクルマに乗っていたので、「イメージ悪いかな?」とか思いつつ、正直に「34のGT‐Rです」なんて言ったんですよねぇ。

 そしたら「何? お前、Rに乗ってんのか?」なんて言われまして、専務も「俺も昔、32のRに乗ってたんだよ」なんて話になり、その流れから「よし!お前、明日から来い。少し様子を見て、乗れそうなら、ウチで乗せてやる!」ってな、まさかの採用決定となりました。

 GT‐Rに乗ってるってだけで、採用決定ですからねぇ、意味わかんないですよね(笑)。そんなスタートですから、もう大変でしたよ。

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