日本のトラックは箱型のバンボディが主流。だがクラシックな平ボディもまだまだ健在だ。平ボディのなかでも、フルオーダーメイドで製作されるものは「つくりボディ」と呼ばれ、一目置かれる存在となっている。
そんなつくりの平ボディのなかから、今回は浜名ワークスが製作した「アオリ水平保持装置付平ボディ」を紹介しよう。
同車両は、平ボディの荷台上で作業中のドライバーが荷台から落ちて怪我をする転落事故を防ぐため開発された「アオリ水平保持装置」を搭載。建設資材から鉄道車両部品までさまざまな荷物を運ぶユーザーのこだわり満載の荷台仕様にも注目だ。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
2020年9月10日発売「フルロード」第38号より
【画像ギャラリー】積み降ろし作業中のドライバーの安全を守る!! アオリが足場になる画期的な平ボディが登場!!
■ドライバーの安全を第一に開発&製作した平ボディ
浜名ワークスはキャリアカー(車両運搬用トレーラ)の国内トップメーカーとして有名。バン・ウイングや平ボディなどカーゴ系ボディの架装も行なっており、同社がフルオーダーメイドで製作するつくりボディは堅牢性に定評がある。
今回同社が製作したアオリ水平保持装置付きの平ボディは、安全に強いこだわりを持つ地元のリピートユーザーと共同開発したもの。アオリ水平保持装置は浜名ワークスの特許技術となっている。
いっぽう、ユーザーの鈴建輸送はスーパーゼネコンを主要取引先とし、足場、鉄骨、コンクリート二次製品などといった土木・建設資材、および住宅部材、鉄道車両部品、重量機械などを幅広く運んでいる運送会社。
トラックの保有台数はキャブバッククレーン付き平ボディが約80台、ウイングボディが約20台で、キャブバッククレーン付き平ボディでは県下最大手。車両開発は「取引先の要望を必ず反映させる」というスタンスで、今回の一台も取引先の要望を汲み取って開発したものだ。
■実用性と利便性を兼ね備えた嬉しい工夫が各所に
ベース車両はUDトラックス クオンCW系3軸6×4リアエアサスシャシー(GVW25t級、ホイールベース7170mm)。6×4駆動の通称ツーデフシャシーの選択は土木・建設現場での悪路走破性を考慮したもの。リアエアサスは新幹線部品など振動を嫌う製品輸送を考慮したものという。
シャシーとボディをつなぐサブフレームは、床面地上高を極力低く抑えるため厚さ75mmの薄型の縦根太を採用(中低床仕様)。床面地上高は1216mmだ。
荷台は5方開きの平ボディで、キャブバックに古河ユニック製2.9t吊りクレーンを搭載。荷台内寸は長さ8720×幅2370mmとなっている。床材は反り返りが少ない=長寿命の竹床材を採用。土木・建設資材や鉄道車両部品まで幅広く固縛できるよう多数のフックを備える。
鳥居(キャブバックの衝立)は長尺物を立てかけられる強度を確保。収納量も豊富で、荷台側のメイン収納はレバーブロックやワイヤー類を多数収納可能。サッと取り出せるよう、蓋は付けず、その代わり布カバーを取り付ける。
いっぽう、キャブバックのクレーン両側面にも収納スペースを用意。進行方向右側のボックスは予備のレバーブロックなどを入れるもの。左側は固縛時に積み荷に被せて傷付き防止とするための毛布を入れる棚を備える。
軽量化のため燃料タンクは300Lを1個搭載。最大積載量は11900kgを確保する。タンク下部には現場での万一の破損を防ぐアンダーカバーを装着。右側のホイールベース間とリアオーバーハング部の収納ボックスは浜名ワークスオリジナルだ。