ナットから広がった「錆跡」は危険信号!! 大型車の車輪脱落事故予防にもつながるホイールの安全管理を知ろう

ナットから広がった「錆跡」は危険信号!! 大型車の車輪脱落事故予防にもつながるホイールの安全管理を知ろう

 目視である程度状態や交換目安を確認できるタイヤと違って、ホイールやハブは脱着時にしか確認できない箇所が多く安全管理がなかなかむずかしいところかもしれません。

 いっぽうホイールからの危険信号を見逃せば、最悪、車輪脱落事故に繋がります。特に大型車の車輪脱落事故は近年増加傾向にあり、昨年令和4年度は140件発生し、前年比でみると17件増加しています。

 こうした事故を予防するためにも、ホイールの安全管理について商用車のタイヤマン、ハマダユキオさんに解説してもらいました。

文/ハマダユキオ、写真/ハマダユキオ・フルロード編集部

ホイールのことを知ろう!

使用限度を迎えたホイール。錆によるクラックが発生している
使用限度を迎えたホイール。錆によるクラックが発生している

 タイヤは路面と接地し、て駆動力や制動力、旋回を維持しクルマの重量を支えています。

 タイヤと共にその役割を担いつつ、内燃機関や電気モーターからの出力やドライバーの切ったハンドルの舵角をタイヤへ伝える大事な役目を果たしているのがホイールです。

 汎用性も高く、車両との締結方法が同じであれば車両メーカーに関係なくほぼ互換性があります。ほぼというのは、特殊車両はホイール幅や材質の厚みのほか細かい設定がありますので、すべてに互換性があるワケではありません。

 そんなホイールですが、定期的に交換する消耗品ではなく、タイヤ交換時に今まで使ってるホイールに新品タイヤを組み替えるのが一般的。タイヤ交換時や車検の時に新品に交換することなどまずありません。

 でも、ホイールにも使用限度というものがあります。明らかに割れているとか、変形が酷い場合は問答無用ですが、車検や点検時に引っ掛かることのない、だけど放置しておくのは危ないケース。つまり、安全面からの使用限度があるんですね。

 タイヤのスリップサイン露出は文句無しに使用限度。そこでタイヤの交換時期が来たとわかるのですが、ホイールにはその明確なサインがありません。

 ただ、初期段階で不具合のサインをホイール側から送ってきていますので、これを運行前点検等で見つけるのが一番です。

 エアが漏れてパンクに至る。原因の多くは路面と接地してるタイヤに異物を踏み抜きエアが漏れる事象です。

 でも、レアケースでホイールの不具合があります。バルブ本体やバルブのパッキン、バルブコア(ムシ)等は交換すればエア漏れは止まります。ところがホイール本体に不具合があると修理は厳しいモノとなります。それはクラックやピンホールです。

 もちろん、このタイプのパンクは運行前点検で見つけるのはかなり難易度は高いので、車両から外しての点検となるわけですが、傾向としてフロントで使用しているスチールホイールの裏側で発生するケースが多いです。

 原因の多くは錆。特に融雪剤をまかれた道路のように塩水がよくかかる車両は要注意です。

 エア充填のためドライエアを使用してタイヤ内部の水分を飛ばして組み込んでも、塩分の多い水はホイールの内側まで錆が発生させます。そしてこの錆が針のような小さい穴や極細の筋のクラックを誘発。パンクに至ります。

 特にフロントは旋回時の応力が大きく掛かり、錆により強度が下がったホイールの応力が集中するところにクラックが発生します。修理は不可なので交換しましょう。

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