フォルクスワーゲングループに所属するMANのミュンヘン工場は、2025年で70周年を迎えるとともにバッテリーEVトラックの量産を開始した。歴史的な節目に当たり、工場の「誕生パーティ」に2万人が招待された。
一足早く開幕したオクトーバーフェストにビール樽を運んだのは、MANのBEVトラックと馬だった。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/MAN Truck & Bus
ミュンヘン工場、伝統と革新の70年
ディーゼルエンジンの実用化などで知られるドイツの商用車メーカー、MANは同社ミュンヘン工場の「誕生パーティ」を企画した。2025年はミュンヘン工場の操業開始から70年に当たり、バッテリーEV(BEV)トラックの量産を開始した節目の年でもある。
祝賀会には工場の従業員8000人とその家族など2万人が招待されたほか、ビールを提供するテントもあり、さながら真夏のオクトーバーフェストの雰囲気を醸している。
同社のCEOを務めるアレクサンダー・フラスカンプ氏は次のように話している。
「私たちは皆、この工場の歴史を誇りに思っています。(今年ミュンヘン工場で量産を開始した)大型BEVトラックは、開発・生産ともにこの場所で行なわれており、ここは私たちの革新性と汎用性を証明する場所です。MANとミュンヘン工場にとって今年は歴史的な節目となります。
あらゆる課題に対して、常に正しいソリューションを見出すために、私たちは豊富な歴史と現代性を巧みに融合させてきました。この力強い伝統は、未来を築くための確固たる基盤です」。
一足早いオクトーバーフェスト?
祝賀会のために200人の乗客を収容できる高さ40メートルの観覧車まで用意された。観覧車からは工場とミュンヘン、ヨーロッパアルプスのパノラマビューを堪能できる。
この観覧車だが、興行師のランドヴェルマン・ファミリーが所有するものだといい、移動に用いるトラックは全てMAN製だ。その理由は「品質と伝統へのこだわり」だそうだ。観覧車の移動にはのべ2500トンもの資機材を運ぶ必要があり、優れた物流体制を整える必要がある。
ドイツの伝統的なお祭りにはビールが欠かせない。今回はミュンヘンのパウラナー醸造所のビールが届けられた。パウラナー醸造所はミュンヘン工場で製造されたBEVトラックを2台導入しており、ビールを運んだのは、MANのBEVトラックと「馬車」だった。
これは伝統と革新を表すためだといい、一足早く「O’Zapft is!」(オクトーバーフェストの開会を告げるミュンヘン市長のあいさつ)が宣言された。
他にメリーゴーラウンドやブラスバンド、MANがスポンサーを務めるFCバイエルン・ミュンヘンのチームバスや約40台の歴史的な車両の展示なども行なわれ、子供でも楽しめるようにインタラクティブAIによりMANの車両を自分でデザインできるブースも用意された。
MANのミュンヘン工場は1955年以来、125万台のトラックと200万台のキャブ、300万台の車軸を製造している。工場の敷地面積は約100万平方メートルで、これはサッカー場に換算すると約140面分に相当する。
工場は継続的に拡張されており、最近では2008年に2つの管理棟が建設され、イベントや納車式を行なう「トラックフォーラム」と「バスフォーラム」も建設された。さらに2016年から新しい塗装工場、ボディショップ、エンジニアリング・試験棟も建設され、増築は今も続いている。
テストコースと再生可能エネルギーを供給する発電所も併設され、ミュンヘン工場の地熱プロジェクトは、2028年までに自社施設のほかミュンヘン=カールスフェルト地方に地域暖房を提供する予定だ。MANは2030年までに世界中の拠点で温室効果ガスを2019年比で70%削減することを目指しているが、2024年末時点で既に削減率は60%に達しているという。
【画像ギャラリー】MANミュンヘン工場の70年(8枚)画像ギャラリー
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