パンクはどうやって直すの? 商用車のプロタイヤマンに聞く基本的な修理方法と修理不可のケース

パンクはどうやって直すの?商用車のプロタイヤマンに聞く基本的な修理方法と修理不可のケース

 空気入りのタイヤの場合、新品であろうと交換寸前のすり減ったタイヤであろうと、異物を踏んで風穴が開いた瞬間からタイヤはパンクします。

 パンクと言ってもパンクの発生状況はさまざま。踏んだモノが貫通しそれが抜けて瞬く間に内圧がゼロになる場合、ジワジワと時間を掛けて空気が漏れていくスローパンクチャー、タイヤの横を擦ったり鋭利なモノでえぐったりするサイドカットなど。いずれにせよ内圧が保持できない状況がパンクです。

 タイヤは決して安いパーツではごありません。可能ならスリップサイン、あるいは使用限度まで使い切りたいもの。ただ空気入りタイヤの場合、パンクの事象は避けにくいのも事実。そしてすべてが修理可能ではありません。

 そこで今回は、商用車タイヤのプロのサービスマン・ハマダユキオ氏にパンクの基本的な修理方法と修理不可の状態を紹介してもらいました。

文・写真/ハマダユキオ

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基本的なパンク修理の流れ

 では基本的なパンク修理の流れをお伝えします。

 まずパンク箇所の特定をします。まだ内圧が残っていれば石鹸水や専用のチェック液で特定できますが、内圧がゼロの場合はエア充填時のバーストの危険性が高いため安全囲いに入れ、少しずつエアを入れて特定します。

 修理できる範囲ですが、どの場所がパンクしてても修理可能ではなく、目安はトレッド部分。といっても、トレッドの端の部分は貼り付ける修理部材がタイヤの屈曲運動で剥がれる可能性が高いので、NGとなる場合があります。

 また修理可能な範囲内でもタイヤサイドの内面部分にシワ(引摺り痕)があったり、内部構造の破損や貫通穴が大きい(8mm以上)場合も修理不可となります。

 踏んでいる異物を取り除いたら、走行中の雨水等の侵入を防ぐために「詰め物」をします。この詰め物をしておかないと侵入した水分でタイヤ内部の構造体であるスチールワイヤー、コードなどが錆びてしまい強度が低下、最悪はバーストへ至ってしまいます。

パンク修理の要・穴を塞ぐパッチの貼り付けと詰め物

 次に穴を塞ぐ修理、パンク修理の要であるパッチの貼り付けに入りますが、まず貼り付けるパッチ、絆創膏のようなモノの大きさより、少し大きめにゴミやシリコンの除去、そしてパッチの接着をより強固にするため専用の工具(バフ)で少し削ります。

 薄く均等に削ったら削りカスを取り除き、ゴム糊を塗り、パッチを貼ります。専用の圧着用工具でパッチをしっかり貼り付け、先ほど削った部分でパッチでは隠れない露出している部分に削った部材と同じ成分のコート剤を塗布して完了です。

 また、先ほど貫通穴からの水等の侵入を防ぐために詰め物をする工程がありましたが、詰め物を入れるにも分厚い強靱なスチールベルトの入ったタイヤに柔らかいゴムの詰め物を隙間なく入れるのはそのままでは非常に困難なので、ドリルにて6〜8mm程度の穴を開けます。

 そこで疑問に感じると思いますが、穴を開けて大丈夫なのでしょうか?

 トレッドの下にはスチール製のベルトが何層にもしっかり締められて強度を出しています。ここに穴を開けるのですから強度は当然下がる傾向になります。

 トラック用のパッチはラジアルパッチと呼ばれ貼り付ける方向が決められていて、正しい向きに貼ればこのパッチが低下した強度を補う補強材になるんですね。

 パッチを貼った後に塗布するコート剤ですが、バフ工程で削るのはインナーライナーと呼ばれる気密性の高い薄いゴムの膜のようなチューブみたいなモノです。

 このインナーライナーの削った場所は気密性が下がるため、インナーライナーと同じ部材のコート剤を塗布して気密性を確保します。

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