側面は弱点!? 見た目で大丈夫と判断するなかれ!! 最悪バーストに至るタイヤの傷をタイヤのプロが解説

側面は弱点!? 見た目で大丈夫と判断するなかれ!! 最悪バーストに至るタイヤの傷をタイヤのプロが解説

 実はクルマの車重を支えるため多機能かつ高性能なパーツ、タイヤ。一箇所がダメージを受けると機能性が失われて最悪バーストに至るケースもある。

 そんなタイヤのダメージでも特に深刻なるのがタイヤサイドの傷だ。商用タイヤを扱うプロタイヤマンのハマダユキオ氏に解説してもらった。

文・写真/ハマダユキオ  

注意が必要なタイヤの傷

見た目の大きさは小さい傷だが、これが原因でダメージを蓄積してバーストに至るケースもある
見た目の大きさは小さい傷だが、これが原因でダメージを蓄積してバーストに至るケースもある

 「傷」。ヒトであれモノであれ傷が付くのはあまり良い事象ではございません。ヒトで外傷の度合いにもよりますがその傷の部位は暫く触れなかったり使えなかったり。心の傷なんてのは見た目での判断がつきにくいモノですから治すのは容易ではございません。

 モノの場合は自然治癒はありませんので修理、補修、交換となります。

 タイヤも同じです。タイヤは構造やたくさんの部材の組み合わせで製造されたパーツで車重を支え、駆動や制動を路面に伝え車両の方向の転換、維持、そして路面からの衝撃を和らげる役目を担ってます。

 タイヤの多くは空気を高圧で充填するためこの多機能、高性能なパーツの外傷は少々神経質になっても良いくらいです。

 タイヤの外傷はエア漏れ、内部構造の損傷に繋がり、最悪の場合破滅してしまいます。

 傷が入りやすい場所はやはりタイヤのサイド部分で、車両外側方向です。内側(車両側)も稀に傷が入る事はありますが多くは外側です。

 外傷の種類も様々で比較的平滑なモノで擦れた傷や刃物のようなモノでカットしたもの、尖ってる縁石等でえぐられたもの。

 トレッド部分にも傷は入ったりしますがトレッドの山、ブロックの部分はトレッドゴムの厚みもあり余程酷いエグレやブロックがごっそりもげる傷でなければ深刻な問題にはなり難いのですが、問題はトレッドでも溝の部分やタイヤの断面の構造上薄い部分に傷が深く入った場合等ですね。

深刻なのはタイヤサイドの傷

 最も深刻な事態になるのはやはりタイヤのサイド部分。

 タイヤの機能のひとつである路面からの衝撃を和らげる構造であるためタイヤのサイド部分は屈曲します。この屈曲運動、動きがあるからこそ路面からの衝撃も緩和され快適な走行となるのです。その為断面の厚みはトレッド部分より構造はシンプルで肉厚も薄くなってます。

 内部の空気充填圧、走行中の衝撃緩和の為のサスペンションのスプリングのような動きの役目をしている所に鋭利なモノで一突きされれば一溜りもありません。

 異物の侵入角度がキツかったり傷が深く表面のゴムをえぐる感じだとエアが一気に抜けたり、内部構造の破損が大きいとその一点に内部充填圧が集中してバーストなんて事態にもなりかねません。

 また傷が深くてもエアが漏れずに大丈夫だと思ってもその傷が原因で損傷が拡大、突然のバーストする可能性も否定できないですね。

 リトレッドタイヤのベースとなる台タイヤ選定の時もこのサイド傷は傷の大小、深い、浅いは関係なく不適合とされる場合が多いです。

 サイド部分に深く傷が入ってて、スリップサインが出る交換時期までエア漏れや変形(膨らみ)も無く使い切ったとしてもバーストのリスクが高すぎる為不適合とされます。

 タイヤサイドのゴムの層は薄く、その薄いゴム層の中に人間で言う所の骨のような筋繊維のようなカーカスと呼ばれるコードが入ってます。材質はトラック用でスチール、乗用車用でポリエステル、特殊車両用でナイロンでタイヤの横から見て放射状に配置されます。

 このカーカスコードはタイヤサイド部分からトレッド部分、そして反対側のタイヤサイドまで繋がっています。

 異物踏み抜きのパンクで貫通穴、傷が大き過ぎするとカーカスコードも切れてタイヤサイドの一部分がカーカスコードが切れた事により充填空気圧に押され一部分、つまりカーカスコードが切れた部分が膨らむ事があります。

 そういう場合もタイヤサイドの傷ではないのですがバーストの危険もあり継続使用は控えた方が無難です。

 このようにタイヤのサイド部分は薄いゴム層とカーカスコードで充填空気圧に耐え、路面からの衝撃を和らげている部分でありますからエア漏れも変形が無くてもタイヤサイドの傷には要注意です。

捲ってみると中にワイヤー(カーカス)が見える傷。このタイヤは破断しているので今は大丈夫でもバーストの危険は大
捲ってみると中にワイヤー(カーカス)が見える傷。このタイヤは破断しているので今は大丈夫でもバーストの危険は大

 狭い現場や歩道の縁石、道路の幅、その他の条件で避けれない場合、タイヤサイドが犠牲になる事が多く、修理も不可の為新品へと交換になります。

 タイヤも決して安い部品ではなく高価です。深くえぐれた傷でエア漏れも無くタイヤの変形や膨らみが無いと『大丈夫じゃん?』ってなりますが、ただでさえ肉厚が薄いタイヤサイドのゴム層がえぐられ、さらに一部分が薄くなってる事、その傷から剥き出しになってるスチールワイヤーのコードに雨水や空気が直接触れる事により錆が発生。

 一部ワイヤーが切れているとしたらその分の負荷、負担は他のワイヤーが能力以上に負担。高圧な空気充填圧、走行による繰り返される屈曲運動、それによる傷の大きさ、深さが進行、行き着く所はバーストの可能性が高くなります。

 タイヤのウィークポイント、サイド部分。キズつける事の無いように付き合いましょう。

【画像ギャラリー】このまま走行を続けるのは危険!! 深刻なタイヤ側面の傷の事例(5枚)画像ギャラリー

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