北海道のボルボディーラー、オートサービスヤマグチがヨシノ自動車、極東開発工業などと電動ダンプトレーラを共同開発。先日開催されたジャパントラックショーin富士スピードウェイ2024で公開された実車をいち早くレポートした。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
PTOを搭載してないトラクタでも荷台のダンプアップが可能
オートサービスヤマグチが開発した電動ダンプトレーラは、ダンプトレーラにモーター駆動の油圧ポンプを搭載することで、PTO(動力取り出し装置)を搭載していないトラクタでもダンプ装置が動かせるというもの。
通常のダンプトレーラは、トラクタに搭載されているPTOで油圧ポンプを回し、その油圧を使って荷台のダンプアップを行なう。つまりPTOが付いていないトラクタだと、積み荷を降ろすことができない。
だが、同車両はダンプトレーラに電動油圧システムを搭載。電力をトラクタから供給してもらう必要があるが、トラクタにPTOが付いていなくても荷降ろしできるので、さまざまなトラクタで運用可能となる。もちろん、PTOが付いているトラクタでも運用可能だ。
同装置を開発したオートサービスヤマグチは北海道のボルボトラックディーラーで、代表の山口幸将氏は元エンジニアという経歴の持ち主。同氏に同装置の開発の狙いを聞いた。
「ダンプ業界では、ドライバー不足や2024年問題の影響で、10トンダンプの約2.5倍の積載量を確保できるダンプトレーラに移行するユーザーが増えています。
新車のトラクタを注文すると納期がかかるため、中古のトラクタを購入し、PTOを後付するケースも少なくないのですが、PTOの後付には約250万円のコストがかかります。そして、それをトラクタを買い替えるたびにつけなくてはいけない。
ダンプトレーラ側に電動油圧システムを取り付けることができれば、どんなトラクタでも運べて、納期やコストの問題がなくせるのではと考えて、独自に開発しました」という。
構想〜完成まで約2年。開発はヨシノ自動車、極東開発工業の全面協力のもとで進められた。いまのところ商品名は「考え中」だが、すでに特許を取得しており、令和6年度の北海道発明協会会長賞も受賞している。
大手メーカーの全面協力を得て安全性も検証
オートサービスヤマグチが開発した電動油圧システムは、トラクタの電力でモーター駆動の油圧ポンプを回し、ダンプ装置を駆動する仕組みだ。
トラクタのバッテリーを消費するので頻繁に荷降ろしを行なう近距離輸送には向かないが、荷降ろしの頻度が少ない長距離輸送を主体とするユーザーにはメリットがありそう。ちなみに装置重量は約300kgで、最大積載量は車両の仕様により300〜400kgマイナスとなる。
製品化にあたっては、駆動用モーターは熱を持つため、火災に繋がらないよう、何度も試験を行なって安全性を検証。この試験は極東開発工業の全面協力のもとで行なわれたという。また、万一のダンプアップ時に故障した際は、24V電源を繋げば強制的に荷台を降ろせる仕組みも搭載した。
同装置は今後、商品名とともに価格などを決めて、本格的に販売を開始する予定。装着対象は国内外のほとんどのダンプトレーラ(トラクタに300Aの回路が必要)。なお、販売窓口はヨシノ自動車が担うという。
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