関西で商用車用タイヤ専門店を営んでいる矢板大輔さんは、今日も朝から大忙し! なにせ一人きりの独立系のタイヤ屋さんなので、何から何まで自分一人でこなさなければならないんです。
東でタイヤレスキューの依頼があれば作業用の3t車ですっ飛んでいき、西で運送会社からのタイヤ交換の注文があれば喜び勇んで駆けつける……。
東へ西へ駆け巡り、タイヤ屋さんは本日もベリー・タイヤード! そんなタイヤ屋さんに冬場の仕事ぶりを語ってもらいました。
文・写真/矢板大輔
*2012年1月発売トラックマガジン「フルロード」第5号より
雪国に多い 切れたチェーンによるタイヤバースト
今回は、冬のタイヤレスキュー&タイヤサービスの大変さを紹介しましょう。といっても私のホームは兵庫県南部で、雪はほとんど降らない中途半端なところなので、降雪地帯のタイヤ屋さんからすれば、大変さはまったく比べ物になりません。
冬のタイヤレスキューで何が多いかというと、やっぱりバーストです。
大型トラックの大半はスタッドレスに履き替えをしていますが、2トン車・4トン車は意外と夏タイヤ(ミックスタイプ)のままなんですよね。
なので、雪が降ればタイヤチェーンを巻いて走行します。で、チェーンが切れると、切れたチェーンがタイヤに刺さりバーストする、というケースがあるんです。
でも、私のところは雪がほとんど降らないので、普通のバーストが多くて、夏場に比べれば冬場のタイヤレスキューって意外と少ないんですよ。
しか~し、そのかわりに増えるのがタイヤサービス! この時期が一番の稼ぎ時ですから、営業時間や休日なんて関係ありません。11月の半ばくらいから始まって、本格化するのは11月下旬からクリスマス過ぎくらいまで……。
寒くなると一気にスタッドレスタイヤへの交換が増えるんですね。作業をまんべんなく振り分けられたらいいんですが、こればっかりはお客様次第。一気に作業の依頼がくるのが一番コワいんですが、くるんですよね、コレが……。
スタッドへレスへの履き替えが1日100本以上!
なにしろ夜明け前から深夜まで、ひたすらタイヤ交換しまくります。まぁ、一日に多いときで100本以上はタイヤ交換をします。
通常の大型トラックのタイヤの総入れ替えだと1台10本ですから、100本だと10台分ですが、1台12本の4軸低床もありますし、さらに数の多いトレーラなんかもありますからね。
さすがに一人でこの本数は堪えますよ~。ほんまに途中で嫌になります。すんなり作業が進めばいいのですが、タイヤを横に寝かして積んで保管しているところなどでは、下のタイヤはもちろんペッタンコ……。エアがすんなり入らない。
で、バズーカを使ってエアを入れるのですが、稀にそれでも入らないタイヤがあるんです。そ~なるともう大変! 私はイライラ、次の現場の入り時間が遅くなる、私の帰る時間が遅くなる! って具合に悪影響を及ぼすんですよね~。
あっ、そのエアの入らないタイヤはどうするかというと、別の車両のスタッドレスと交換して、その場を凌ぎます。で、そのペッタンコのタイヤにチューブを入れて膨らましといて別の日に作業するんです。
冬場は、日が暮れるのが本当に早いですよね。もう5時になれば真っ暗、しかも寒い! 作業に没頭してたら、時間感覚が完全に麻痺します。これが余計に疲れる。
なんせ日の出前の薄暗い時間から作業して、日の入りで暗くなった時間まで作業してたら「俺、一体何時間作業しとんねん。もう24時間くらい作業しとんちゃうか~!」って思うんです(笑)。
ちなみに、お昼ご飯も抜き休憩も無しですからね、毎年この時期は1カ月で10キロは痩せますからね、ホント、いいダイエットになりすよ。