日本ミシュランタイヤのプレスセミナーから その3
さて、ミシュランのワイドシングルタイヤ「X One」を採用したユーザーに話を聞き、実車を見てもらおうというのが、今回、日本ミシュランタイヤが企画したプレスセミナーの趣旨であった。
プレスセミナーでは、まずは「X One」を囲んでワイドシングルタイヤのお勉強。それにしてもデカい!
昭和42年創業の㈱レキウンは、北部九州エリア一円でアスファルトの輸送業務を行なっており、11台の車両を保有している。アスファルトの輸送なので、当然ながら使用される車両はアスファルトローリだ。ちなみに舗装工事などでお馴染みのアスファルトは、原油に含まれる炭化水素類の中でも最も重質なもので、常温では固化してしまうため、最低でも130℃以下にならないよう保温する必要がある。このためアスファルトローリのタンクは魔法瓶のように二重構造になっており、バーナー等を備えたローリもある。
「X One」を履いたレキウンのアスファルトローリ。後ろに見えるアスファルトのタンクには、1つで1158トンのアスファルトが貯蔵されている
レキウンの福岡営業所は、博多湾に面した石油コンビナートの一角にあり、各々1158トンの3つのタンクを要したアスファルトプラントからアスファルトローリの積み場までパイプラインでアスファルトが送油されるようになっている。
レキウンのローリの積場は3レーンある。一般的な石油類の油槽所と同様、アスファルトは上部の注入口から積み込む方式だ。レキウンでは通常、アスファルトを160~170℃に保温して運んでいる
アスファルトローリの積載量は、石油ローリなどと異なり、kl(キロリットル)表記ではなく、kgで表記するそうだが、たださえ上物(うわもの)が重いアスファルトローリなのに、最近は排ガス対策その他でシャーシも重くなる一方である……、レキウンがミシュランのX Oneに着目したのも、何としても積載量を確保したいという強い思いからだった。吉川信長レキウン代表取締役の話である。
吉川信長レキウン代表取締役。進取の気象に富んだオーナーだ
「当社のアスファルトローリは、納入先の現場の事情で全長が9m50の車両しか導入できません。従ってベースとなるトラックは、GVW22トンの6×2Fしか入れられないのですが、最近のポスト新長期対応車は、とのメーカーもフレーム重量が増加して、11トンに達しています。GVW22トン車ですから、引き算をすると残りは11トン……、この11トンの積載量はどうしても確保したかったのです。しかし当社では、エアサス、ディスクブレーキ、ドライブレコーダー、カーナビ、追突防止装置、EBS、さらにアイドリングストップ対応クーラーや蓄熱式マットなど、安全装備やドライバー支援のための装備等は積極的に導入する方針なので、排ガス対策以外でも重量アップの要因がある……。ちなみに当社のアスファルトローリは、タンク本体は自社で設計していますし、シャーシも相当に手を入れています、アルミホイールはかなり以前から導入していますし、替えられる物はすべてアルミや樹脂に替えて軽量化を図っているのですが、それでも積載量11トンの確保は非常に厳しかった……、そんな時、160kg軽量化できるというX Oneの話を聞き、『これだ!』と思ったのです」。 (つづく)
見事に11トンの積載量を確保したレキウンの「X One」装着車両。多くのトラックユーザーが積載タイトルの確保に苦しんでいる中、ワイドシングルタイヤの採用は、有望な選択肢となるのではないか
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