知っていたらかなりの自動車マニア? ルノーの新世代EV商用車でいにしえの車名が復活!

知っていたらかなりの自動車マニア? ルノーの新世代EV商用車でいにしえの車名が復活!

 ルノーが次世代のバッテリーEV小型商用車として3モデルを公開した。諸元などの詳細は今後発表するとしているが、ボディスタイルなどは明らかになっている。

 いずれもボルボや物流会社と合弁で設立したフレクシス社が開発を行なっている車両で、今回の発表ではその「車名」にも注目が集まった。というのも、1950年代に登場した商用車の名前を最新EVとして復活させたためだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Renault SAS

ルノー、新世代の電動小型商用車を発表

知っていたらかなりの自動車マニア? ルノーの新世代EV商用車でいにしえの車名が復活!
ルノー「エスタフェットEテック」

 フランスのルノーは2025年2月10日、小型商用車というセグメントを再定義するという新世代のモデルレンジを発表した。公開されたのは車名とボディスタイルで、車両諸元などの詳細は今後発表することにしている。

 このセクターのフルレンジを担う新世代の商用車は、SDV(ソフトウェア定義車両)アーキテクチャに基づく柔軟でスケーラブルなプラットフォームを共有している。これはルノー・グループであるアンペアと、ルノーとボルボなどが合弁で設立したフレクシス社が開発を行なっているものだ。

 2026年の市場投入を予定している3モデルの車名は、「エスタフェットEテック」「ゴエレットEテック」「トラフィックEテック」だ。

 全て伝統ある名前なのだが、トラフィックはともかく、それ以外の車名について覚えがある方はかなりの自動車マニアではないだろうか。なにしろ70年近く前の、いにしえの車名を復活させたものなのだから……。

 なお、プラットフォームを開発しているフレクシスはルノー・グループとボルボ・グループ、そして物流会社のCMA CGMの3社によって設立された合弁会社だ。同社は先日、100%電動のバッテリーEV(BEV)小型商用バンを発表しており、ルノー・グループにも供給するとしていた。

 その「スケートボード」プラットフォームは、コンパクトながら広々とした空間を持ち、様々な仕事に対応可能なバン型車を実現することで、エネルギーとテクノロジーの転換期にあっても決して運行を止められない商用ユーザーを支援するという。

 ルノーの3モデルもプラットフォームを共有するいっぽうで、それぞれが個性を持ち個別のニーズを満たすように設計されている。

同じDNAを共有する3つの個性

トラフィックEテック

知っていたらかなりの自動車マニア? ルノーの新世代EV商用車でいにしえの車名が復活!
ルノー「トラフィックEテック」

 「トラフィック」(Trafic)は1980年から続く現行の小型商用車で、新型で第4世代となる。これまでの累計生産台数は250万台に達し、ルノーの車両の中でも最も成功したクルマの一つだ。

 新型トラフィックEテックは近代的なプロポーションと、クリーンでダイナミックな印象のワンボックスデザインを特徴とする。フロントオーバーハングは短く、ホイールベースは長い。ホイールをできるだけ四隅に寄せたのは、インテリアスペースを最大化するためだ。

 いっぽうで回転半径は乗用車のルノー・クリオ(ルーテシア)と同等、全高は1.9メートルに抑え、地下駐車場へのアクセスも容易となっている。

ゴエレットEテック

知っていたらかなりの自動車マニア? ルノーの新世代EV商用車でいにしえの車名が復活!
ルノー「ゴエレットEテック」

 ルノーの「ゴエレット」(Goelette)は1956年から10年間販売された商用車だが、近代的なBEVの「ゴエレットEテック」としてこの車名が復活する。

 旧ゴエレットをご存知の方は多くないと思うが、その堅牢性やコンバージョン(ボディ改造)のしやすさなどから特定のニーズを満たし、小規模なビジネスユーザーなど一部の顧客からの評価は高かったという。

 BEVとして復活したゴエレットEテックは、ボックス車とダンプに加えてシャシーキャブ(キャブ付きシャシー。シャシーとは別に荷台を架装するトラックでは一般的な販売形態)でも提供し、旧ゴエレットと同様、コンバージョンに豊富な選択肢を用意する。

エスタフェットEテック

知っていたらかなりの自動車マニア? ルノーの新世代EV商用車でいにしえの車名が復活!
ルノー「エスタフェットEテック」

 「エスタフェット」(Estafette)もルノーの古い車名を復活させたものだ。1959年から1980年まで累計で50万台が製造されている。

 エンジンやトランスミッションをフロントに搭載し、リア側の全てを貨物スペースとしたことで知られ、ルノーの小型商用車のアイコンとして長く親しまれたが、1980年に後継車のトラフィックにその座を譲った。

 エスタフェットの復活は新しく発表されたものではなく、ルノーは2024年9月にデザインコンセプトとしての「エスタフェット」を公開しており、「カングー」や「クリオ」などのコンセプトを取り入れたBEVとして2年後(2026年)の市販化を目指すとしていた。それがこのたび正式に発表された形である。

 エスタフェットEテックは、全長5.27メートル、全幅1.92メートルで都市部でも乗りやすいサイズとなっている。いっぽうで全高は2.6メートルあり、室内高は最大1.9メートル。コックピットと貨物エリアを立ったまま容易に行き来できるのが特徴だ。

 これら新世代の小型商用BEVはフランスのサンドーヴィル工場で製造し、2026年に市場に投入される予定となっている。

【画像ギャラリー】ルノーの次世代商用EVのスタイルを画像でチェック!(9枚)画像ギャラリー

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