ボルボとルノーの合弁会社が新型バッテリーEVバンを発表! 航続距離450kmで2026年に量産開始

ボルボとルノーの合弁会社が新型バッテリーEVバンを発表! 航続距離450kmで2026年に量産開始

 ルノーとボルボ(乗用車のボルボ・カーズではなく商用車のボルボ・グループ)、それに物流会社のCMA CGMが合弁で設立したフレクシスは同社初の車両としてバッテリーEVバンを3モデル発表した。

 電動の「スケートボード・プラットフォーム」を共有する3モデルは、都市部の物流用途に特化している。航続距離は最大450kmで2026年に量産・納車を開始する予定だ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Flexis SAS

「都市物流」に特化したフレクシスのBEV

ボルボとルノーの合弁会社が新型バッテリーEVバンを発表! 航続距離450kmで2026年に量産開始
フレクシスが発表した3モデルのBEVバン。左から「ステップインバン」「カーゴバン」「パネルバン」だ

 フランスのルノー・グループとスウェーデンのボルボ・グループ、そしてフランスを本拠とする世界有数の海運・物流会社のCMA CGMの3社が2024年に合弁で設立した商用車メーカー・フレクシスSASは、2025年1月29日、同社初の車両を公開した。

 「都市物流」の革新を目指す同社による、都市のライフスタイルを支えるためのバッテリーEV(BEV)商用車3モデルで、ルノーのサンドーヴィル工場(フランス)で製造し、2026年に登場する予定となっている。

 新型車は欧州の都市物流の課題を解決するため、電動化を前提にした「EVネイティブ」なスケートボード・プラットフォームを採用する。

 「スケートボード」は主に電動車両のシャシーを構築する際のベース構造で、バッテリーやモーターなどの基礎的な部品を組み込んだプラットフォームのこと。スケートボードを活用することで駆動系などを個別に設計することなく、複数の車両区分やボディセグメントにまたがる車両を製造できるので、自動車メーカーは開発コストを大幅に抑えることができる。

 一連のモデルは、このスケートボード・プラットフォームが共通しており、ソフトウェア定義車両(SDV)の電子・電気アーキテクチャとともに、100%電動、100%コネクテッド、100%都市物流用、100%カスタマイズ可能な車両となるという。

 また、ロジスティクスの課題に迅速に対応するため、物流用のソフトウェアも搭載する。

 フレクシスは2023年の合意に基づき2024年に設立されたばかりの新しい自動車メーカーだが、早くも商用展開を始める段階に入り、欧州各国の大手運送会社から注文意向書が届いているそうだ。

 向こう3年間で15,000台という受注を見込んでおり、そのうち仏・英・独の3社は協力会社での運行を通じて新たなソリューションを構築するためフレクシスと協力する。

フルカスタム可能な都市向け純電動バン

ステップインバン。フロントのスライドドアとリアのシャッタードアの組み合わせは、欧州の同セグメントで初めてだとか
ステップインバン。フロントのスライドドアとリアのシャッタードアの組み合わせは、欧州の同セグメントで初めてだとか

 EVネイティブなスケートボード・プラットフォームとSDVアーキテクチャはルノーグループのアンペアが開発しているもの。これを利用してフレクシスは同一のファミリーに属する3モデルの純電動バンを開発した。

 運行効率を最大化するため、プラットフォームは運行管理者にリアルタイムでデータ送信が可能となっている。無線でのアップデートもでき、車両はさながら車輪の付いたコンピューターだ。

 詳しい車両諸元はまだ公開されていないが、物流業務を念頭において設計した車両だけあって、全てのモデルが荷物の積み下ろしを容易にする低床シャシーを採用する。また内部のカスタマイズ性、急速充電と大容量バッテリー、市街地での運行に最適な航続距離(1充電当たりWLTPモードで最大450km)を備えるそうだ。

 もちろん業務におけるドライバーの安全性と快適性も考慮され、乗用車のような快適さに加えて、車両への乗り降りを一日に最大250回も繰り返す配送ドライバーのため、膝の負担を最小化する高さに運転席を配置するなど、人間工学に基づいた設計が行なわれている。

 この製品ラインの開発には3.5億ユーロ(約560億円)が投じられており、既に工業化する段階に入っている。プロトタイプが20台製造され、延べ9000時間の走行テストが行なわれた。2026年半ばにサンドーヴィル工場で量産化され、同年中に納車するというスケジュールだ。

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