世界各国のトラックをメーカーごとに紹介する「世界のトラック」。今回はボルボグループ傘下のフレンチトラックメーカー「ルノートラックス」をピックアップ。空力性能を追求したキャブにボルボ由来の最新コンポーネントを組み合わせ、EVモデルにも力を入れている同社の最新ラインナップを多賀まりお氏が解説する!!
文/多賀まりお(編集部加筆)
写真/ルノートラックス
※2020年3月10日発売「フルロード」第36号より
ボルボ由来のコンポーネントに独自のキャブを組み合わせ
ルノートラックスはフランス・リヨンに本拠を置く。サヴィエムとラティルをルーツに、中小トラックメーカーを買収したルノーVI(ルノーの商用車部門)が2001年にボルボグループ傘下に入り、翌年現在の体制が確立された。
欧州域でのマーケットシェアは7%(2016年)と高くはないが、2013年にはラインナップを一新。とりわけ配送・特装系で定評を得ている。
新世代の中大型車は長距離輸送が「T」、特装用が「C」、オフロード特装用が「K」、そして集配用が「D」という4つのレンジで構成される(T、C、Kは2021年のビッグマイナーチェンジでデザインとともに居住性や燃費性能を向上した)。
キャブは新たに製作された2.5m幅と、フロント周りを手直しした既存の2.3m/2.1m幅を使う。エンジンはすべてボルボ由来で、AMTもDTi11/13型はボルボIシフト、DTi5/8型はZF製の組み合わせだ。
Dと小型車のマスターにはEVモデル「Z.E」も設定されている(掲載時。現在は第2世代EVモデル「E-Tech」に進化。E-TechはT、C、D、およびマスターに設定されている)。
●T
2013年にデビューした長距離輸送用のフラッグシップモデル。GCW60tまでをカバーする2軸/3軸トラクタと2軸/3軸の単車系が設定されている。エンジンはDE11型、DE13型とDE13型のターボコンパウンド仕様の3機種。キャブは標準ルーフのデイキャブとフルキャブ、ハイルーフのフルキャブのほか、フロア高を200mm高くしてフラットフロア化を図った最上級モデル「Tハイ」も設定。EVモデル「E-Tech」も設定する。
●C
オン/オフロード両用のライト特装用で、GVW32tまでをカバーする単車系とGCW100tまでをカバーするトラクタ系をラインナップ。キャブは2.3m幅キャブと2.5m幅キャブの2系統が展開される。エンジンはDE11、DE13、DE13ターボコンパウンドの3機種を設定。EVモデルの「E-Tech」も展開されている。
●K
従来の「ケラックス」の後継となるオフロード向け大型特装用モデル。6×6や8×8などの総輪駆動を含むさまざまなシャシーバリエーションが自慢。2.5m幅キャブやエンジンはTやCと共通だ。
●D、Dワイド
GVW7.5〜26tを受け持つ近距離配送用の中・大型モデル。2.3m幅キャブにDTi8型7.7Lエンジンを搭載するGVW16〜26t級の「Dワイド」と、2.1m幅キャブにDTi5/8型の5.1L/7.7Lを積んだGVW7.5〜18t級の「D」の2シリーズを展開。CNGモデルやEVモデル「E-Tech」も設定する。
●マスター
乗用車メーカーのルノーからOEM供給を受けるGVW3.1〜4.5tの小型バン/トラック。溶接構造のラダーフレームにdCi2.3型ディーゼルエンジン(130〜180PS)を搭載して後輪を駆動する。EVモデル「E-Tech」も設定。
●トラフィック
マスターと同じく乗用車メーカーのルノーからOEM供給を受けるGVW2.8〜3.1t級の小型商用バン。dCi2.0型2.0Lエンジン(110〜170PS)を搭載する。
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