内燃機関の開発と最新の安全装備
電動化を進めるいっぽうで、ゼロ・エミッションのソリューションを補完するため、MANは同時に水素技術にも取り組んでいる。大型商用車ではインフラなどの問題から電動化が難しい分野があり、そうした用途に向けたものだ。
特に、燃料電池ではなく水素を内燃エンジンで燃焼する水素エンジンに注力するのが、MANのユニークなところだ。オーストリアでの試乗では、水素エンジントラックのプロトタイプを用意した。
2025年にはTGXをベースとする「hTGX」として水素エンジンの大型トラック約200台を少数量産(スモール・シリーズ)し、ドイツ、オランダ、ノルウェー、アイスランドと欧州以外の一部の市場に納車する予定で、量産車への水素エンジンの導入はトラックメーカーとしては初めてとなる見込みだ。
水素エンジントラックは水素の燃焼によってある程度の排出はあるものの、欧州ではBEVトラックと同様、「ゼロ・エミッション車」の要件を満たす車両となる。
いっぽう、従来型の内燃エンジン(ディーゼルエンジン)も、ゼロ・エミッションへの過渡期において需要が残るだろう。MANはTGXとTGSのセミトレーラけん引車に、あらたに高効率の「パワーライオン」ドライブラインを導入する。
MANの「ティップマチック」14段ギアボックスと組み合わせたエンジンは、燃料消費を3.7%削減する。これは新世代のブレーキと空力性能の向上を含めた数値だ。ドイツのように大型車のCO2排出量クラスによって道路通行料金が加算される国では、より排出が少ないクラスに分類されることで、さらなるコスト削減が可能だ。
脱炭素技術のほか、最新のドライバー補助システムも試乗会で披露された。MANは歩行者・自転車検知システムをすでに実用化しているが、2024年の初めから第3世代の衝突被害軽減ブレーキなどの先進ドライバー補助システム(ADAS)をトラックに搭載している。
また5月に発表されたばかりのバン型車「TGE」の新型も試乗用に用意され、安全装備・機能の確認が可能となっていた。
例えば「クルーズアシスト・プラス」や「エマージェンシー・アシスタント」などの機能だ。後者はいわゆるデッドマン装置で、ドライバーの状態異常を検知すると、システムが車両を停止しハザードランプを点灯、ドアのアンロックと通報などを行なうそうだ。
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