先日発表されたいすゞ自動車の「エルフEV」は駆動系にZFのセントラルドライブ「CeTrax lite」を採用していた。
そのZFは6月29日、恒例となっている「グローバル・テクノロジー・デイ」を開催。このイベントで同社は次世代の商用車用電動アクスル「AxTrax 2」を公開したほか、既存車両やトレーラの電動化を含め、輸送の電動化に対するコミットメントを明確にした。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ZF Friedrichshafen AG
トラック電動化の2つの方式
ドイツ・フリードリヒスハーフェンの自動車部品メーカー、ZFは商用車のコンポーネントでは世界最大手級だ。トラックの電動化にも力を入れており、日本で発表されたばかりのいすゞ自動車の新型エルフでは、バッテリーEV(BEV)モデルにZFの小型商用車用電動セントラルドライブ「CeTrax lite」が採用されていた。
トラックの電動化には複数の方式があるが、従来のエンジンとトランスミッションなどを電動モーター等に置き換えつつ、ドライブシャフトを介して後軸を駆動するという仕組みは従来を踏襲する「セントラルドライブ」方式と、駆動軸にモーターを組み込むことでシャフトも不要となる「電動アクスル(eアクスル)」方式の2つが主流だ。
(日本の小型EVトラックで言うと、いすゞの「エルフEV」が先述の通りセントラルドライブ方式、三菱ふそうの新型「eキャンター」が電動アクスル方式を採用している。)
セントラルドライブは従来車からの変更点が少ないことがメリットで、新型エルフの場合、共通プラットフォームの「I-MACS(アイマックス)」によりディーゼル車とフレームを共用するなど効率的に開発された。
いっぽう、電動アクスルを採用するメリットは、大きなスペースを占める駆動部品が不要となることで、トラックの荷台を含めた車両レイアウトの自由度が大幅に高まる。
ZFは両方式の電動ドライブを提供しており、セントラルドライブ方式を「CeTrax(セトラックス)」、電動アクスル方式を「AxTrax(アクストラックス)」という呼称で展開している。
同社は毎年「グローバル・テクノロジー・デイ」と称する技術プレビューを開催しているが、2023年6月29日のイベントで大型車用の「CeTrax 2 Dual」や、次世代の電動アクスルとなる「AxTrax 2」及び「AxTrax 2 Dual」を公開した。
このうち、5月に米国で発表されたばかりのモジュラー式次世代電動アクスルのAxTrax 2は小型車から44トン級のトラック・トレーラまで対応するとのことで、2024年にまずは欧州で製造を開始する予定だ。
ちなみにAxTraxはZFが2015年に発売した電動ポータルアクスル「AVE130」に起源を持ち、現行型は米国最大手のトラックメーカー、フレイトライナー(ダイムラーグループ)の大型BEVトラック「eカスケイディア」に採用されるなど、商用車の電動化に向けた本命とも言うべき存在だ。
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