電動コンポーネントをモジュラー化して提供
ZFの商用車部門はCVS(Commercial Vehicle Solutions)ディビジョンとなっており、電動アクスルやセントラルドライブのほか、その他の電動コンポーネントも含め、商用車メーカーが電動化に際して必要とする重要な技術を提供している。
これらの商品はモジュラー式となっていることが特徴で、これによって小型車から中型、大型、トレーラまで静かで排出フリーな商用車の成立が可能となっている。
CVSディビジョンでドライブラインを担当する同社上級副社長のウィンフリード・グリュンドラー氏は次のように話している。
「弊社のモジュラー電動ドライブキットにより、ZFはラストマイル輸送用の小型トラックから44トンの大型トラックまで、商用車の電動化を考えているお客様にあらゆるものを提供します。
このキットにはスケーラブルなアクスルやセントラルドライブシステムも含まれ、例えばバッテリーと燃料電池など、ZFのほかの電動システムと同様、異なる技術を組み合わせることも容易です。また、ZFは多くの電動コンポーネントを社内で開発しているため、これによってキットを補完することも可能です。
ZFは商用車の電動化では並ぶもののない『ワンストップ・ショップ』を提供していますが、これをさらに拡張し、広大な商品ポートフォリオとグループ全体の専門知識を組み合わせることでコスト効率に優れ、TCO(総保有コスト)を低く保った商品をお届けします。
世界をリードするトラック・バス・コーチメーカーに選ばれる電動モビリティの開発パートナーとしての地位を、イノベーションを通じてさらに確かなものとします」。
コンパクトなAxTrax2とその他の電動コンポーネント
BEVトラックの設計においてスペースを最大限に効率化するAxTrax2は、荷室や乗客用のスペースの拡大のほか、将来の商用車コンセプトでのバッテリー搭載位置など、車両レイアウトの自由度も拡がる。
ブレーキやADAS、自動運転といった車両機能とも完全に統合され、安全性と効率性の向上に寄与する。また、CANバス通信により車両のデジタル機能、テレマティクスシステムが電動アクスルと情報を交換できるようになる。
この電動アクスルは2つのバージョンで提供され、210kW(約280hp)の連続出力を提供する「AxTrax2」は軽量な商用車向け。いっぽう電動モーターを2つ搭載し380kW(同510hp)の連続出力をもたらす「AxTrax2デュアル」はより重い用途に最適だ。
どちらのモデルも従来車のエンジン、トランスミッション、ドライブシャフト、駆動軸の機能を電動アクスル1つにまとめることで大幅に簡略化する。これにより商用車の形態と機能とアーキテクチャを再考する余地が生まれ、空力の改善や自動運転用のセンサーの追加、バッテリー搭載スペースの確保などが容易になるだろう。
また、あらゆる商用車の電動化を目指しているZFのアプローチには、新型車だけでなく既存の車両も含まれる。例えば、本来は駆動系を持たない被けん引車(セミトレーラ)への電動アクスルの搭載だ。
トレーラの車軸に追加したAxTrax2は、ブレーキを掛けた時の制動エネルギーを電気エネルギーに回生し、バッテリーに戻す。そしてこのエネルギーを使って電動アクスルを駆動するのでトラクタ・トレーラ全体の走行が効率化する。
このような組み合わせは、従来のディーゼル車でも可能であるため、AxTrax2を搭載するeトレーラによって内燃機関車の排出量削減も可能となる。もちろんトレーラに制動能力が追加されるため、全体としての安全性も向上するという。
ZFは他にも商用車市場が求める電動コンポーネントを提供している。モジュラー化によりメーカーは駆動系全体にZFのシステムを採用することもできるし、共通のインターフェースを活用してメーカー独自のコンポーネントと組みわせることもできる。
こうした電動コンポーネントには、電動モーターやシリコンカーバイド(SiC)インバーター、制御ユニット、電動アクチュエーター、電気駆動用の多段トランスミッションなどが含まれている。
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