三菱ふそうはこのほど、2025年に国内全製造拠点をカーボンニュートラル化するという、国内完成車メーカーで最も早い目標を設定したと発表。これまで同社が目標年度としていた2039年から大幅に早めたかたちだ。
文/フルロード編集部、写真/フルロード編集部、三菱ふそうトラック・バス
三菱ふそうが目指すカーボンニュートラルの試み
日本のゼロエミッションの取り組みは、2030年度に温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減するという目標や、2050年までのカーボンニュートラル化が掲げられている。
このうち、環境省の統計によれば、2021年度のCO2排出量のうち運輸部門は約17%に対して、工場などの産業部門は約35%を占めており、生産拠点の脱炭素化は重要なテーマの一つとなっている。
そうした中、三菱ふそうでは2039年を達成目標年度としていたカーボンニュートラル化を、このほど前倒しして2025年までに目指すことを決定した。
この決定は、親会社であるダイムラートラック社の取り組み「グリーン・プロダクション・イニシアティブ」の一環で、全生産拠点のカーボンニュートラル化を目指すことが掲げられている。
三菱ふそうの国内製造拠点としては、トラック車両および産業用エンジン等を製造する川崎製作所(神奈川県川崎市)、トランスミッション等を生産する中津工場(神奈川県愛甲郡愛川町)およびバス車両の製造を担う三菱ふそうバス製造(本社:富山県富山市)の3カ所に加え、100%の子会社である架装メーカー、パブコの工場が対象となる。
これまでの取り組みとしては、2021年までに川崎・中津両工場においてCO2排出量を2015年比で20%以上削減。2022年には川崎製作所構内に約9000㎡の太陽光発電パネルを増設するとともに、川崎・中津両工場の全調達電力を再生可能エネルギー由来に変更した。
また三菱ふそうバス製造も2023年4月より、100%再エネ電力による操業を開始し、製造拠点のカーボンニュートラル化に向けた取り組みを進めてきた。
今後はこれらに加えて、さらなる省エネ活動の実施や設備投資などによって、CO2排出量の削減を進める。
カーボンニュートラルの達成にあたっては、カーボンクレジットなどによるオフセット制度(CO2排出量をクレジットの購入などによって埋め合わせる制度)も活用し、2025年までのカーボンニュートラル化実現を目指すとしている。
なお、欧州向けの小型トラック(キャンター)を製造する三菱ふそうの完全子会社・三菱ふそうトラック・ヨーロッパ(本社:ポルトガル)のトラマガル工場は、2022年末にカーボンニュートラルをすでに達成している。
三菱ふそうは、2017年に世界に先駆けEV小型トラックを量産化するなど、早くから運輸業界の環境問題に取り組んできた企業でもある。今回の取り組みで、産業界としても環境のトップランナーとして牽引していくことになりそうだ。
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