政府の「2024年問題」対策案がスゴイ!! 時速80km制限撤廃に「トラックGメン」導入

「トラックGメン」設置や速度制限緩和などの具体案

荷主を監視する「トラックGメン」導入に時速80km制限の撤廃!? 政府が2024年問題への対策を法制化へ
2024年度分の施策効果。施策なしだと14%の輸送力不足となるが、何とか回避できる計算(内閣官房配布資料より)

 具体的には次のような施策が政策パッケージ案としてまとめられた。

 事業者単独での改善が難しい「商慣行の見直し」に関係するものとしては、多重下請け構造に対する規制、荷主・元請を監視する「トラックGメン」(仮称)の導入、現在は時限措置となっている「標準的な運賃」制度の拡充などがある。

●荷主・物流事業者間における物流負荷の軽減(荷待ち、荷役時間の削減等)に向けた規制的措置等の導入
●納品期限(3分の1ルール、短いリードタイム)、物流コスト込み取引価格等の見直し
●物流産業における多重下請構造の是正に向けた規制的措置等の導入
●荷主・元請の監視の強化、結果の公表、継続的なフォロー及びそのための体制強化(トラックGメン(仮称))
●物流の担い手の賃金水準向上等に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化等の取組み
●トラックの「標準的な運賃」制度の拡充・徹底

 「物流の効率化」案は次のようなもので、「物流DX(デジタル化)」や「物流GX(脱炭素化)」と共に、高速道路における大型トラックの速度規制(現在は80km/h制限)の引き上げも含まれている。制限速度の引き上げは一律ではなく、事故発生状況を考慮しつつ、先進安全技術の搭載などが条件になるかもしれない。

●即効性のある設備投資の促進(バース予約システムなど)
●「物流GX」の推進
●「物流DX」の推進
●「物流標準化」の推進(パレットやコンテナの規格統一化等)
●道路・港湾等の物流拠点(中継輸送含む)に係る機能強化・土地利用最適化や物流ネットワークの形成支援
●高速道路のトラック速度規制(80km/h)の引上げ
●労働生産性向上に向けた利用しやすい高速道路料金の実現
●特殊車両通行制度に関する見直し・利便性向上
●ダブル連結トラックの導入促進
●貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し
●地域物流等における共同輸配送の促進
●軽トラック事業の適正運営や輸送の安全確保に向けた荷主・元請事業者等を通じた取組強化
●女性や若者等の多様な人材の活用・育成

 いっぽう、「荷主・消費者の行動変容」に向けた取り組みは次のようなものとなる。荷主や物流事業者の取組を評価・公表する仕組みの創設のほか、宅配便の再配達削減などのために消費者の意識改革が必要となるため、物流に係る広報も推進する。

●荷主の経営者層の意識改革・行動変容を促す規制的措置等の導入
●荷主・物流事業者の物流改善を評価・公表する仕組みの創設
●消費者の意識改革・行動変容を促す取組み
●再配達削減に向けた取組み(再配達率「半減」に向けた対策含む)
●物流に係る広報の推進

一年以内に成果が必要

荷主を監視する「トラックGメン」導入に時速80km制限の撤廃!? 政府が2024年問題への対策を法制化へ
物流のGX(グリーン・トランスフォーメーション)とDX(デジタル・トランスフォーメーション)は、脱炭素やデジタル技術を経済成長につなげるという考え方。物流効率化の上でも新技術の活用は欠かせない(内閣官房配布資料より)

 2024年4月まで残り1年を切っている。従って1年以内に成果が得られなければならず、スケジュールは厳しい。今後の進め方としては、2024年1月の通常国会での規制的措置(法制化)から逆算して次のように3段階で推進するとした。

●速やかに実施するもの
規制措置の導入を前提として荷主や物流事業者が取り組むべき事項をガイドラインとして策定する。また、業種・分野別の「自主行動計画」を年内を目途に作成・公表することを要請する。

●2023年末までに実施するもの
労働環境改善の原資となる運賃が適正に支払われるように「標準運送約款」「標準的な運賃」の改正のほか、2030年度に向けて中長期計画の策定・公表を行なう。また再配達を半減させるための緊急施策と自主行動計画の作成・ガイドライン遵守状況の調査なども行なう。

●2024年初に実施するもの
2024年1月の通常国会への法案提出を視野に規制的措置を具体化する。


 なお、議論を踏まえて岸田総理からは次のような指示があった。

 「物流は国民生活や経済を支える重要な社会インフラであり、物流の停滞が懸念される2024年問題が喫緊の課題です。これに対応するには、物流をめぐり、荷主・物流事業者・消費者の間で長年定着している構造を改革する必要があり、その実効性が求められます。

 加えて、即時の対応が必要なため、トラック輸送に関する契約の見直し、荷主企業や物流事業者による自主行動計画の策定と着実な実施を促すなど、可能な取組から速やかに進めて下さい。

 その上で、荷待ち・荷役時間の削減、そして多重下請構造の是正、適正な運賃収受や価格転嫁等に向けた規制的措置について、次期通常国会での法制化を含め、枠組みを確実に整備して下さい。

 関係大臣におかれては、そのことについて広く理解を求め、また、定期的に進捗の管理をすることで、政策パッケージの実効性を確かなものとし、我が国の物流の革新に向けて、政府一丸となって、精力的に取り組んでいただくよう、お願いいたします」。

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