共同開発の成果はすでにリリースされていた!?
シャシー展開はセミトラクタが2軸4×2と3軸6×4、フルトラクタが3軸6×4と4軸8×4。エンジンは、10.8リッターの「GH11」型(最高出力390~460PS)、12.8リッターの「GH13」型(最高出力470~530PS)の2機種を設定する。
GH13型は、2017年発売の現行型クオンでエンジン展開から消えていたが、高馬力レンジのエンジン(以前と同じくボルボ製を輸入)として再度設定する。一方ギガ・トラクタでは、15.7リッターエンジン(6WG1型)搭載車の後継となる。大平専務執行役員は「エンジンの軽量化でより積載量を確保でき、物流効率化に貢献する」として共同開発によるメリットの一つに挙げている。
トランスミッションは、電子制御機械式自動変速機(AMT)の「ESCOT(エスコット)」を採用する。特に、GH13型12.8リッターエンジン搭載車は、最新バージョンの「ESCOT-VII(7)」を搭載しており、よりスムースで最適な変速操作を実現するという。GH11型10.8リッターエンジン搭載車については当面、現行バージョンの「ESCOT-VI(6)」となる。
実は、GH11型10.8リッターエンジン搭載4×2車型は、現在発売中のクオン2022年モデルそのもので、このモデルから採用された先進ドライバー支援システム(ADAS)などは、共同開発プロジェクトの成果がすでに反映されている部分という。つまり、GH11型エンジン搭載4×2車型に限っていえば「今回いすゞ向けモデルがデビューした」といえる。
もちろん、改めて設定されたGH13型12.8リッターエンジン搭載車と6×4車型は、共同開発を経て同時に発表・発売されるニューモデルである。エンジン、軸数を問わず、電子制御式電動アシスト付油圧パワーステアリング「アクティブステアリング」を装備し、低車速時での操舵力軽減、安定した直進走行性、不正路面におけるキックバック軽減および操舵性の向上、横風時の補正制御、ステアリング操舵後のいわゆる「ハンドル戻り」のナチュラルさなど、運転労力を軽減することで、ドライバーの就労環境の改善に貢献するとしている。
トップシェア車クオン・ベースで優位を拡大へ
UDは国内トラクタ市場トップシェア、いすゞは第4位というポジションで、両社のセミトラクタ・ユーザー層や売れ筋モデルの展開にも微妙な違いがあるとされる。両社ではそれぞれのユーザー・得意分野を保ちながら、トップシェア商品・クオンをベースとする共同開発車によって、「いすゞグループ」として競合する日野や三菱ふそうに対する優位性を訴求していく考えである。
生産は、クオン、ギガ・トラクタともUD上尾本社工場が担当する。クオンに加えて、これまでのギガ・トラクタの需要も積み上げられることから、協業ならではの生産ボリュームの拡大によるスケールメリットの創出で、コスト面での優位性も引き出したいとしている。
なお、UDトラックスでは2010年の秋以降、国内向けセミトラクタ6×4車をボルボ・トラックスの「ボルボFH6×4」で置き換え、UDトラックス販社で取り扱ってきた。今回UDオリジナルのクオン6×4車型が復活したことになるが、今後もボルボFH6×4の取り扱いを継続していくという。
※新型「ギガ」「クオン」トラクタでは、セミトラクタ(セミトレーラ牽引用)とフルトラクタ(フルトレーラ牽引用)を設定しているため、タイトルと記事内容を一部修正しました。
【画像ギャラリー】クオンをベースにいすゞとUDが共同開発した新型ギガ・セミトラクタのスタイリング(12枚)画像ギャラリー
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