いすゞ自動車、そして2021年4月から同社傘下となったUDトラックスは3月29日、UDの現行型「クオン」トラクタ車型をベースとする初の共同開発車を発表した。共同開発車では、セミトラクタがメインの4×2車型と重量物運搬用6×4車型、フルトラクタが6×4車型と8×4車型をラインナップし、UDは「クオン」トラクタの改良モデルおよび追加モデルとして、いすゞは「ギガ」トラクタの全面改良モデルとして、ともに4月4日から発売する。
文・写真／トラックマガジン「フルロード」編集部
トラック首位のいすゞと大型トラクタに強いUDが手を組む
いすゞは2020年3月、スウェーデンのボルボ・グループと戦略的提携を結び、当時ボルボ傘下だったUDトラックスを翌年4月に取得した。これ以降いすゞとUDは、大型トラックモデルの商品開発プロジェクトを共同で進めている。その第1弾が今回の新型トラクタである。
共同開発の第1弾がクオン・ベースのトラクタという点について、いすゞ自動車技術本部開発部門統括の大平隆専務執行役員は「UDはセミトラクタ市場で強い。一方いすゞは、ピックアップや小型、中型から大型までのトラック・バスを幅広くラインナップしている。そこで、お互いの強みを持ちよって共同開発に取り組むことにした」と説明する。
UDトラックス開発部門のダグラス・ナカノSVP（シニアバイスプレジデント）兼最高技術責任者（CTO）は「市場評価の高いクオン・セミトラクタはUDの強みであり、最初の共同開発にふさわしい。しかし、これまでユーザーニーズがありながら国内市場では13年間、6×4車型をカバーしていなかった。共同開発によって6×4車型が復活できた」と語る。
共同開発では、いすゞとUDの開発・設計・実験・品質などのスタッフを、両社の拠点がある藤沢（神奈川）あるいは上尾（埼玉）へ相互に派遣し、合同会議や意見交換を通じて両社が積み上げてきた知見の共有を進めたという。「企業文化や業務プロセスが異なる2社だが、一方でともに商用車メーカーであり、業界環境や製品づくりで追求していることは同じ」（大平専務執行役員）で、「家族のように共同開発に取り組んできた」（ナカノSVP兼CTO）と両社の開発トップが口をそろえた。
クオンベースで「ギガ顔」!!
新型ギガ/クオン・トラクタの詳細は、4月4日の発売以降公開とのことで、現時点での情報は限られるが、発表会での取材から判明したものを交えて第一報をお届けしよう。
まず、やはり目を引くのが、ギガ・トラクタのエクステリアだ。クオンと同じキャブを用いながら、ギガ・トラクタはいすゞオリジナルの「ギガ顔」じたてになっている。インテリアも基本的にはクオンと同一で、国産4車のうちやや狭いと評されてきたベッドスペースが同等となることで、ドライバーには歓迎されるだろう。内装カラーは現行型ギガと同様のブラウン基調となっており、こちらもイメージを踏襲している。もちろんステアリングホイールの中央にあるエンブレムはISUZUだ。
ギガ・トラクタの「ギガ顔」をよくみると、フロントパネルやフロントバンパーの造形はギガ単車系と違うのだが、ヘッドライトとフロントウインカー・フォグランプは、ギガ単車系と同一のユニットを装着している。もちろん、ギガのブランドイメージを継承するためだ。そのため、クオンのE/Eアーキテクチャー（電子系・電気系の構造）を用いながら、その一部をあえて設計変更した。これは自社整備をしている輸送企業などで、注意が必要な点となるかもしれない。
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