エンジンがないのになぜ燃える? トレーラ火災事故が起きる3つの原因

エンジンがないのになぜ燃える? トレーラ火災事故が起きる3つの原因

原因その1:水分凍結による「ブレーキの引きずり」

作動不良を起こしたリレー・エマージェンシー・バルブ(写真:日本自動車車体工業会・加工:フルロード)
作動不良を起こしたリレー・エマージェンシー・バルブ(写真:日本自動車車体工業会・加工:フルロード)

 「ブレーキの引きずり」でも多いと考えられるのが『ブレーキシステムに混入した水分の凍結』によるものです。

 具体的には「リレー・エマージェンシー・バルブ」と呼ぶ、トレーラ側ブレーキの作動に関わる重要なバルブ装置において、内部に溜まった水分が寒冷時に凍結、作動不良を起こして、自動的に非常ブレーキが掛かるというものです。また、水分のほかに異物(ゴミなど)が溜まってしまう場合もあります。

 凍結を防ぐためのブレーキシステムの水分除去では、「圧縮エアタンクの水抜き」「エアドライヤー(除湿装置)の点検整備」「リレー・エマージェンシー・バルブの点検整備」「コントロールライン内部の水分除去」といった作業が不可欠です。もちろん異物にも注意が必要です。

 トラック車体およびトレーラメーカーの団体である日本自動車車体工業会によると、近年は冬季のトレーラ火災事故が減少しているとのこと。トレーラのユーザーや整備関係者が、リレー・エマージェンシー・バルブの凍結や異物混入に注意するようになった成果かもしれません。

リレー・エマージェンシー・バルブには水分以外にも注意すべきものがある。例えばフィルター内部にはゴミが溜まることもある(写真:日本自動車車体工業会)
リレー・エマージェンシー・バルブには水分以外にも注意すべきものがある。例えばフィルター内部にはゴミが溜まることもある(写真:日本自動車車体工業会)

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