米国で2026会計年度の予算が議会を通過したが、同国では初めてトラックの駐車場を整備するための専用予算が盛り込まれ、米国トラック協会(ATA)が歳出パッケージを称賛している。
大型車の駐車場不足は日本を含む世界に共通する課題で、調査によると米国のトラックドライバーは一日の運転時間のうち56分を駐車場を探すことに費やしている。担い手不足が深刻となる中、「停める」ために輸送力を浪費しており、ドライバー一人当たり年間で100万円以上の損失につながっているという。
職業ドライバーの休憩・休息は法律で義務付けられており、トラックを停めることを強制されながら、停める場所がないという矛盾に、米国は初めて予算措置で切り込んだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Volvo Trucks North America
米国、連邦予算でトラック駐車場を整備へ
広大な米国とはいえ、53フィート(約16.2メートル)のトレーラを連結したボンネットトラックを停められるスペースは多くない。多くのアメリカントラッカーが駐車場の確保に苦労している。
日本と同様、米国でもトラックドライバーの休憩は法律で義務付けられ、一定時間トラックを運転したら必ず停車しなければならない。しかし、安全にトラックを停めることができる駐車場は不足している。さらに、米国では貨物の盗難事件も相次いでいる。銃社会アメリカの駐車場不足はドライバーの安全に係る問題であり、担い手不足の一因とされる。
なにより、法律で「停めろ」と言いながら停める場所がないという矛盾は、日米のみならず世界のトラックドライバーが疑問を感じるところであろう。
この度、米国の連邦議会は大型トラックの駐車場を整備するために2億ドル(約313億円)を拠出するという前例のない法案を可決した。
近年、米国トラック協会(ATA)がトラック駐車場不足問題に優先的に取り組んでおり、連邦議会で証言を行ない、駐車場整備に専門的に使える予算の確保を求めていた。
ATAの働きかけなどがあり、米国では大型トラックが安全な駐車場を確保するための予算として2026会計年度の歳出パッケージに2億ドルが盛り込まれ、大統領の署名を経て成立する見込みとなった。
「駐車場不足」はドライバー1人当たり年間で100万円以上の経済損失
米国運輸省の調査によると、同国のトラックドライバーの98%が安全な駐車場を見つけることに苦労しているといい、平均すると1日の運転時間のうち56分を駐車場を探すことに費やしている。トラックドライバーの仕事は貨物を運ぶことで、当然ながら駐車場を探す時間は利益を生まない。
これにより生産性が低下し、ただでさえ不足する輸送力を無駄に浪費している。経済的な損失に換算すると、ドライバー一人当たり年間で6813ドル(約107万円)の賃金喪失に相当するという。
これまで駐車場の整備にも利用できるインフラ法案などはあったが、用途を限定した専用の予算が成立したことはなく、史上初めてのこととなる。「画期的な出来事」として予算措置を歓迎するATAのクリス・スピア会長兼CEOは、次のように話している。
「トラックドライバーが、一日のシフトを終えたり、連邦法で義務付けられている休憩に入る時、まず心配するのが安全にトラックを停められる場所のことです。トラックの駐車場は非常に重要なインフラであるにも関わらず、残念なことに、投資が非常に少ない状態が慢性的に続いてきました。このことが、トラックドライバーの仕事を著しく困難にするとともに、他の道路利用者に対する危険を作りだす原因にもなっています。多額の予算措置が実現し、問題解決に向けて大きく動きだしました」。
なお、駐車場対策のほか、貨物の盗難やマリファナ(娯楽用大麻)による酩酊状態を測定する技術の実用化、商用ドライバーの英語能力の要件強化など、ATAが求めていたトラック業界支援策も2026年度予算に盛り込まれた。
トランプ政権下で対立が激化する中でも「ATAと連邦議会議員の強力なパートナーシップにより、党派間の対立を乗り越え、トラック業界を強化し、差し迫った問題の解決に向けて前進することができました」とスピア氏は話している。
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