お宝発掘62年前の建柱車! アイチコーポレーションがレストアした三輪トラックに秘められた歴史

その後

A型建柱車による建柱作業を再現した模型(創立50周年記念式典での撮影時)。この素晴らしい模型は現在、本社併設の歴史館で展示しているが、残念ながらこの歴史館も一般非公開となっている
A型建柱車による建柱作業を再現した模型(創立50周年記念式典での撮影時)。この素晴らしい模型は現在、本社併設の歴史館で展示しているが、残念ながらこの歴史館も一般非公開となっている

 アイチの社史によると、創業当時の建柱車は初年度で41台(A型とB型の合計)を販売し、その翌年度にはフル油圧式のAC型を投入して一挙に170台へ、さらに翌々年度は304台へと急増するなど、「電気工事業界に強い特装車メーカー」という当初の目標に邁進していたことがうかがえます。

 また、建柱車は冒頭のとおり、穴掘車の機能を併せ持つ穴掘建柱車へと変わり、さらに電気工事・通信工事などに関係する、ケーブル車(電線を積んでその敷設作業を行なう特装車)や高所作業車といった車種も相次いで製品化され、ラインナップを急速に拡大・充実させていきました。

 創業当時は、ファブレスメーカーを実践していた愛知車輛でしたが、3年後の1965年(昭和40年)には、埼玉県浦和市(現さいたま市)に工場を新設し、自社生産へと転換、その4年後の1969年には、いまのアイチ本社がある上尾市の工業団地へ工場を移転しました。現在は1978年に新設した伊勢崎工場(群馬県)と、1985年に新たな主力工場として建設した新治工場(同)の2拠点で生産しています。

 戦後から高度成長期の時代は、日本の自動車業界と特装車業界にとっては、それまで引きずっていた戦前からの脱皮の時代であり、さらに次の時代へ向けて新しく生まれ変わる時代だったのかもしれません。アイチのA型建柱車は、それが形になって残っているクルマだと思います。

【画像ギャラリー】アイチコーポレーションの製品第1号・A型建柱車に迫る!(15枚)画像ギャラリー

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