アイチコーポレーション本社ロビーに展示されている1962年製のA型建柱車。ベースシャシーも同じ1962年製のくろがねKY10型三輪トラックである
A型建柱車の建柱用クレーン装置は、ブームの支持脚を立てた上で使用する。ブーム支持脚は建柱作業の手間であるため、A型からほどなく登場する建柱車/穴掘建柱車では、支持脚レスでもブーム荷重が支えられる構造へと進化する
PTOから取り出した動力はドライブシャフトからチェーンギアで折り返し、さらにクレーンブームの伸縮用ウインチと昇降用ウインチ、ワイヤ巻上用ウインチ、ジャッキ用油圧ポンプそれぞれ専用のチェーンドライブ機構を駆動する
櫓型のクレーンポスト。ブームを昇降・伸縮させるそれぞれのウインチからのワイヤを滑車を介して支持し、その下にはフック巻上用のウインチを搭載。キャブのすぐ後にあるのはアウトリガのジャッキ用油圧ポンプ
クレーンポスト側面のチェーンドライブ機構はクレーン旋回用で、旋回操作は手動である。上の手動ハンドルを回すことで旋回台の平歯車機構が作動するしくみで、オペレータが立つ反対側にも手動ハンドルがある
クレーンポスト頂部には、ブームとフック巻上(のウインチ)を操作するレバー、PTO切換レバー、旋回ハンドルを設置する。オペレータはクレーンポストの後ろに立って、これらのレバーと旋回ハンドルを操作するのである
クレーンポスト左側の銘板。上モノの製造番号と製造年月(1962年5月)、愛知車輛の銘を刻む
クレーンブーム。3段のテレスコピック式で最大揚呈高は7.5m。前述のとおり伸縮動作はワイヤによる
シンプルながら良いデザインのリアコンビネーションランプは、外部からの操作と電源により点灯が可能になっていた
くろがねKY10型のキャビン。三輪トラックだが、鋼製密閉型キャブとステアリングホイール(円形ハンドル)を備えたキャビンは四輪車なみで、価格の安さと優れた居住性の両立を狙っていた
くろがねKY10型の運転席シート
VINで1962年製シャシーと判明。センタートンネルにはくろがね最大のE15型1488cc水冷直列4気筒OHVエンジンが収まる。従来の1400cc空冷V型2気筒よりモダンで最高出力62PS/4700rpm・最大トルク11.4kgm/2600rpmを発生した
ボンネットフードを開けると、前輪を支持するフロントフォークの頂部が覗いていた。バルクヘッドの赤い銘板は、キャビンコンポーネントの生産を受託していた埼玉県のサプライヤ(現存しない)のものである
2012年に開催されたアイチ創立50周年記念式典で展示されていたA型建柱車。当時は現在と異なるカラーリングだった。また、内装部品なども欠損したままだったが、現在は3Dプリンタで復元が試みられている
A型建柱車による建柱作業を再現した模型(創立50周年記念式典での撮影時)。この素晴らしい模型は現在、本社併設の歴史館で展示しているが、残念ながらこの歴史館も一般非公開となっている