インターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤー2年連続選出!! 今欧州で一番先進的なオランダのトラックメーカー「DAF」を徹底解説!!

インターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤー2年連続選出!! 今欧州で一番先進的なオランダのトラックメーカー「DAF」を徹底解説!!

 世界各国のトラックをメーカーごとに紹介する「世界のトラック」。今回はオランダの「DAF」をピックアップする。同社が2022年に発表した新世代大型トラックは、欧州の主要商用車雑誌24誌の編集長とジャーナリストが選出する「インターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤー」を2年連続(2022、2023)で受賞。欧州大型トラックの新たなベンチマークとして注目を集める同社の最新ラインナップを、同賞賛助員の一人である多賀まりお氏が解説する!!

文/多賀まりお(編集部加筆)
写真/DAF
※2020年3月発行「フルロード」第36号、2021年9月発行「フルロード」第42号、2022年12月発行「フルロード」第47号より

旗艦「XG」「XG+」はクラストップの室内空間を実現

DAFの新世代大型トラック。左からXG+、XG、XF
DAFの新世代大型トラック。左からXG+、XG、XF

 DAFは乗用車用ベルトCVTの開発者としても知られるH.J.ヴァン.ドールネが興したオランダのトラックメーカー。93年に不況の影響を受けて倒産し、その後、米国のPACCAR社に買収された。PACCAR社はケンワースとピータービルトを擁するとともに自社製エンジンを展開。DAFにも3.9〜12.9LのPACCAR社製エンジンが搭載されている。

 トラックのモデル展開は、2.5m幅キャブを擁するフラッグシップのXF、汎用2.3m幅のCF、そしてルノートラックス製2.3m幅キャブを使うGVW7.5〜19tのLFの3系列だったが、XFは21年にフルモデルチェンジを果たし「XF」「XG」「XG+」の3モデル構成に。CFも22年に全面改良を行ない、新たに「XD」として生まれ変わった。

 新型XFのキャブは、21年9月に施行された欧州委員会の新規定(セミ/フルトレーラの連結全長を緩和するのが狙い)に合わせて設計されたもので、約19%もの空力性能向上を実現しているのが特徴。XFはキャブ前後長2360mmのフルキャブ、室内高1900mm(キャブ中央部)のハイルーフのみの設定で、センタートンネル段差は従来どおり175mmとなっている。

 一方、XFとキャブ骨格を共有しながら新たに設定されたXGとXG+は同社初のプレミアムセグメントモデルで、フロア高を高めてトンネル段差を50mmに縮小。さらにキャブ後部を330mm延長してキャブ容積を拡大。キャブ前後長は実に2690mmに及び、室内の広さはクラストップを誇る。なお、XGとXG+はハイルーフの高さが違っており、室内高はXGが2025mm、XG+は2145mmとなっている。

 デビューしたてのXDは従来のCFに相当する地場配送〜特装系の大型モデル。新型XDは新型XFシリーズと共通のキャブプラットフォームを採用することで、優れた安全性と快適性を実現しつつ、架装性に配慮してキャブフロア高はXFに対して170mm低い設定だ。なおXFとXDには建設系特装用モデルとして「XFC」「XDC」も設定されている。

 なお、DAFは22年秋にドイツで開催された「IAAトランスポーテーション2022」で、大型EVトラック「XFエレクトリック」「XDエレクトリック」の生産を23年に開始すると発表。車格や用途に応じてバッテリー搭載数を変えることで航続距離200〜500kmを確保するという。このほか水素燃料で駆動するセミトラクタのテスト車両も参考出品していた。

●XG+
 DAFの新世代フラッグシップ。XG+は連結全長の規制緩和に初めて対応したモデルとしても注目の存在。フロントオーバーハングを160mm延長したキャブは、スペースの余裕を駆使して空力性能を19%も向上。バックパネルの後退と併せてキャブ前後長は330mm拡大され、わずか50mmのセンタートンネル段差、全高4mに迫るハイルーフとともに圧倒的な室内空間を実現する。

●XG
 XG+よりもやや小ぶりなハイルーフを持つXG。センタートンネル部の室内高は2025mmとXG+よりも120mm低いが、それでも充分に広い。フロントウインドウを左右に巻き込み、フロントピラーを後退させることで空力と斜め前方視界に配慮。下縁を下げることで直接視界も向上した。オプションのデジタルミラーはフロントウインドウ下縁の助手席側コーナー部に「コーナービュー」と称するアンダーミラーが付く。

●XF
 DAFのラインナップの中で2.5m幅キャブを擁するトップモデルだったXF。新型はではXG系とキャブ骨格を共用する上級モデルに位置づけが変わった。キャブフロア段差は175mmとXG系よりも125mm大きく、スカニアのRとSシリーズに似た作り分けである。エンジンは10.8LのMX-11(367〜449PS)と12.9LのMX-13型(428〜530PS)を搭載可能。

●XD
 従来のCFに相当する地場配送〜特装系モデルとして22年にデビューしたXD。キャブプラットフォームは先にデビューしたXFシリーズと共通だが、XDは独自の2.3m幅キャブを低い位置にマウント。エンジンはMX-11型で、出力バリエーションは299〜341PSまでの5種類。

●LF
 GVW7.5〜19tをカバーする中型汎用モデルで、コンパクトな2130mm幅のキャブを採用する。シャシーは4×2のみで単車とセミトラクタを用意。エンジンはモジュール設計された4.5L直4のPX-5型と6.7L直6のPX-7型を搭載する。

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