このカッコよさを見てくれ! EV消防車、欧米で続々デビュー!!

 トラック・特装車を電動化する話題は多いですが、緊急車両ではあまり聞かれることがありません。やはり、いざという時にもし充電中で使えなかったら困る、途中で電池切れになっても困る…という心配があるのも確かでしょう。

 ところが消防車の世界では、少しずつ電動化の話題が現れるようになってきました。ということで、欧米で最近デビューした「EV消防車」を紹介しましょう。

文/緒方五郎 写真/Rosenbauer、Emergency one、Pierce、Oshkosh、Magirus

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エマージェンシーワン・E1 EV0消防ポンプ車

世界初の純BEV消防車・エマージェンシーワンのE1 EV0消防ポンプ車

 世界初の純バッテリーEV消防車として2020年10月に登場したのが、英国の消防車メーカー・エマージェンシーワン社が開発した「E1 EV0(イーブイゼロ)」です。

 E1 EV0は車両総重量16トン4×2シャシーをベースとする中型消防ポンプ車で、英国・欧州の消防車規格に準じて製作されており、1750リットル消火水タンク+100リットル泡消火剤タンクも搭載しています。

 キャブはボルボの中型トラック・FLですが、そのバッテリーEV(BEV)モデルをベースとしているわけではなく、エマージェンシーワン社が独自にBEV化したもので、パワートレインにアリソン製の電動アクスルを採用した独自のシステムとされています。実際、MANの中型トラック・TGLベースのEV0も作られています。
 
 200マイル(約321km)とされる航続距離もなかなか優秀で、しかも充電時間は約2時間で完了するといいます。キャブルーフには太陽光パネルも装着されています。

ピアース・ヴォルテラ消防ポンプ車

オシュコシュ社特許のパラレル式ハイブリッドシステムをピアースの消防ポンプ車「エンフォーサー」に搭載したピアース・ヴォルテラ

 「ピアース・ヴォルテラ消防ポンプ車」は、アメリカの大手消防車メーカー・ピアース社が2021年6月に発表した北米初の電動消防車で、親会社であるオシュコシュ社のパラレル式ハイブリッドシステムを搭載しています。

 パラレル式ハイブリッドシステムではあるものの、基本的にはEVモードで走行し、消火活動も電気モーターの力で水ポンプを駆動するというコンセプトを特徴としています。エンジンは、バッテリー充電率が低下した場合に起動するレンジエクステンダーEV的あるいはシリーズ式ハイブリッド的な使い方ですが、充電だけではなく、エンジンだけでの走行も水ポンプ駆動も可能なので、長時間の消火作業に対応できます。

 第1号車は、ピアース社の大型消防ポンプ車モデル「エンフォーサー」仕様で製作され、ウィスコンシン州の消防署に配備されたということです。

オシュコシュ・ストライカー・ヴォルテラ空港用消防車

 やはりオシュコシュ社の子会社・オシュコシュ・エアポートプロダクツ社の「ストライカー・ヴォルテラ・ハイブリッドARFF」は、ピアース・ヴォルテラと同じパラレル式ハイブリッドシステムを空港用消防車(ARFF)に搭載したものです。

 電動化によって、満載状態(消火水12000リットル、泡消火剤1680リットル)での加速性能を最大28%も向上させており、いち早い現場到着が求められるARFFに適したパフォーマンスを、ゼロエミッションで実現できるとしています。

ローゼンバウアー・RT消防ポンプ車

 先進的なエクステリアの「RT」は、オーストリアの大手消防車メーカー・ローゼンバウアー社が2020年9月に発表した次世代消防ポンプ車で、基本的にはBEVですが、バッテリー充電率が低下した時のみ発電用エンジンで補充電を行なう、レンジエクステンダーEVシステムを搭載しています。

 デザインのスタイリッシュさに視線を奪われますが、前軸と後軸にそれぞれ出力132kWhの走行用モーターを備えた総輪駆動・総輪操舵のいわば4WD・4WSで、さらに総輪エアサスというハイスペックなシャシーをもっています。

 送水および放水も電動ポンプで行なわれます。消火作業をデジタル化、ネットワーク化するシステムも導入し、要員間の情報交換やドローンの空撮情報などを共有できるようになっています。また、消火水タンクは1000~4000リットル、泡消火剤タンクは50~400リットルの範囲から、消防車ユーザーが注文できるようになっています。

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