オートカー(AUTOCAR)とバトル・モータース(BATTLE MOTORS)は、ともにアメリカ合衆国の特殊トラックシャシーメーカーだ。
特殊トラックシャシーとは、ダンプやゴミ収集車などの特殊なトラックボディの架装を前提としたトラックシャシーのことで、大手メーカーが大量生産するトラックシャシーに比べて、専門性や機能性が高いのが特徴。
両社が長年改良を重ねて来た特殊トラックシャシーとはどんなものなのだろうか? 知られざる2社の歴史や製品ラインナップを、事情に詳しい緒方五郎氏が解説する。
文/緒方五郎 写真/各メーカー
※2022年3月14日発売「フルロード」第44号より
100年以上の歴史を持つオートカー
オートカー社は、クラス7〜8の特装用シャシーを専門とする特殊トラックメーカー。1897年に創業し、その2年後に米国初の市販トラックを販売した歴史を持つ名門で、1911年以降にトラック専業となった。
1920年代には1.5t積〜5t積まで豊富な車型を展開し、キャブオーバー車も商品化。1930年代には、当時では特大クラスとなるGVW27t車を販売するなど、商品企画、デザイン、メカニズム、ラインナップのすべてで米トラック業界をリードした。
1953年にホワイト・モーター傘下となるが、生産とブランドは継続し、アルミ合金製フレームやグラスファイバー製ボンネットを導入した「Aシリーズ」を発売。1981年にはボルボがホワイトを買収するが、ここでも生産とブランドは継続した。
2000年、ボルボはルノーVIを買収。ルノー子会社のマックもボルボ傘下となり、クラス8塵芥車で独禁法に抵触することから、オートカーは米GVW社に売却された。
その後オートカーはクラス8ボケーショナルトラック「エクスペディター」のみを生産していたが、2008年に改良版「ACX」とターミナルトラクタ「ACTT」、2012年に「ACMD」、2019年に新開発クラス8ボンネット車「DC-64」を発売。
シェアでは大手4社に圧倒されるオートカーだが、特殊トラックメーカーとして今も健在だ。
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