トランスポーターでレーシングカーを運んだり、キャリアカーで高級外車を運ぶなど、車両輸送のエキスパートとして活躍している千葉県の運送会社、トランスウェブ。
同社が2016年に導入したドイツ・シュローダー社の飲料運搬用ウイングトレーラ「アルバトロスXXL」は、独自のボディ構造により飲料運搬用パレットを32枚積載可能とした超特殊ウイングトレーラだ。
昨今トラック業界では1セットで大型トラック2台分の積載ボリュームを実現するフルトレーラ、通称ダブル連結トラックが話題となっているが、同車両はセミトレーラで大型トラック2台分の容積と積載量を同時実現するからスゴい。
日本のウイングボディとはひと味もふた味もちがう、ドイツ生まれの超合理主義的ウイングトレーラの実力を検証する!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2017年9月11日発売「フルロード」第26号より
【画像ギャラリー】積載量がニバイ、ニバ〜イ!! これがドイツが生んだ超合理主義ウイングトレーラだ!!
■単車の大型トラックの2倍という圧倒的な容積を実現する独自の荷台構造
トランスウェブは、モータースポーツ事業と新車輸送の2つを主力業務とする車両輸送のエキスパート。このほかにも、輸入車の通関後の品質チェックを行なうPDI事業、イベントサポート事業、コンテナ事業、エアカーゴ(航空貨物輸送)事業などさまざまな事業を行なっている。
近年はクルマ以外のモノを運ぶ事業とともに、外国製トレーラの輸入販売を行なう事業にも注力。2020年には欧州最大手の総合トレーラメーカーといわれるドイツ・ケスボーラー社のトレーラ製品の販売を開始している。
そんな同社が2016年に飲料輸送事業に導入したのが、ドイツの特殊トレーラメーカー・シュローダー社と共同開発した飲料運搬用ウイングトレーラ「アルバトロスXXL」だ。
シュローダー社は1946年に農業用トレーラメーカーとして創業し、1950年代より輸送用トレーラの製造を開始した老舗トレーラメーカー。現在は飲料運搬用を中心に、産業車両運搬用、建設用など幅広い用途の特殊トレーラの製造を行なっている。
同社が製造する飲料運搬用トレーラにはカーテンサイダー、ウイングなどさまざまなバリエーションが存在するが、今回紹介する「アルバトロスXXL」はウイングタイプのなかでも特に「たくさん積めること」を追求したものだ。
最大の特徴は車軸前後に設けられた2段積みスペースで、車軸前後の床を地面ギリギリまで下げて、そこに油圧昇降式の床を搭載。一部をダブルデッキ化することで積載ボリューム(容積)の最大化を実現する。床の長さは、前から3800mm、3400mm、5800mm、1300mmとなっている。
ちなみに、ジュースやお茶などの飲料輸送はタテ1m×ヨコ1mの通称「イチイチパレット」に一定ロットを重ねて積むのが基本。同車両は、このイチイチパレットを前から3枚、6枚(3枚×2段)、5枚、2枚(1枚×2段)を各2列ずつ、合計32枚積載可能。これは単車の大型トラックの16枚の2倍である。