2023年3月に発売された三菱ふそうの小型EVトラック「eキャンター」の現行モデルに都内で試乗した。駅前商店街や住宅街を走ってわかったeキャンターの魅力とは?
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2024年12月発売「フルロード」VOL55より
Mサイズバッテリーを搭載し航続距離236kmを確保
試乗車はeキャンターの2.5トン積の標準キャブ・ホイールベース3400mm・Mサイズバッテリー・全低床シャシーに、須河車体のボトルカーボディを架装したもの。最大積載量は2500kgで、試乗時は空荷だった。
試乗車を預かり、都内の行動をゆく。10インチのフルLCD型メーターパネルが示すバッテリー充電率は100%。航続距離は236kmを示している。これは国交省審査値として公表されているMサイズバッテリー車のカタログスペックとまったく同じ数値だ。
高電圧バッテリーパックの総容量は83kWhで、最高出力150PS、最大トルク42.8kgmを発揮するeアクスルに電力を供給する。動力性能自体はキャンターのディーゼルモデルの150PS車と同じである。
登り坂を走るとわかるEVトラックならではの優位性
試乗した武蔵野台地の東端は、いくつもの急坂と起伏の中に古い家並みのが残るエリアで、団地の建て替え工事も進行中だ。整備された広い道路も、その路上を乗用車、トラック、大型路線バスが往来する。
試乗車は、先進的な電動ドライブトレーンを搭載しているが、それ以外はおなじみの小型トラック・キャンターだ。交差点の角を曲がるのも、狭い道路で行き交うのも、いままでと同じハンドルさばき。違うのはキャビンが静かなところくらいだ。
登り坂における微低速走行や発進時のドライバビリティは、EVがダントツに優れている領域だ。停止からアクセルを踏み始めた時点で最大トルクを発生するモーターの動力性能は、内燃エンジンが敵わないところで、急勾配の登り坂を徒歩スピードで走らせることは容易い。
また、長い坂道の途中で勾配がきつくなる場合でも失速しにくく、道路勾配に関わらず安定した速度で運行できるため、運転操作はディーゼル車以上にイージーだ。これは疲労軽減にもつながると思う。
バッテリー搭載による低重心化で高い安定感を発揮
前輪ダブルウィッシュボーン式独立懸架、後輪ドディオン式固定軸の足回りは、乗り心地がやや硬めだが、車両総重量6.5トン(試乗時は4トン)を頼もしく支える印象で、なにより高い安定感がある。高電圧バッテリーをフレーム下に搭載する効果も大きいだろう。
なおeキャンターには、アクセルオフで作動する回生ブレーキの選択ゲートがシフトレバーに備えられており、B0/B1/B2/B3の4段階を操作できるが、渋滞中の発進停止や街中走行はB0〜1または2、坂道走行ではB3が使いやすく感じられた。
街中をいろいろ走り回って、帰路を急ぐ。幹線道路の速いペースに遅れをとることなく追従し、足取りの重いクルマを追い越すのもラクで、これもEVトラックの良さだろう。
約4時間、エアコンOFFの時間も含めて市街エリアのさまざまな道を微速〜中速を中心に約40km走り回り、充電率は64%、走行可能距離は162kmになっていた。定積だと減りが早くなるし、走り方でも変わると思うが、1日の業務は充分にこなせそうである。
◇試乗車スペック
車両型式:ZAB-FEAVKE3DS00B
車両全長×全幅×全高:6250×1940×2490mm
ホイールベース:3400mm
車両重量:-
最大積載量:2500kg
車両総重量:6555kg
定員:3名
モーター出力:150PS
モータートルク:43.8kgm
航続距離:236km
前後タイヤ:275/70R17.5
コメント
コメントの使い方