2019年に設立されたEVモーターズ・ジャパンは、自社で生産設備を持たず、中国など外注先に製造委託しているファブレス企業だ。
これまではEVバスの話題が先行していたが、今年5月9日から3日間、パシフィコ横浜で開催される「ジャパントラックショー2024」にEV物流車を出品することを発表。
売れ筋と見られる2t積みのウォークスルーバンとあって、要注目だ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真・図/EVモーターズジャパン・フルロード編集部
「ジャパントラックショー2024」にEV物流車を出品
「ジャパントラックショー2024」に出品するのはE2(GVW5t、2t積 mini e物流車)の1台。「運送業者様へ寄り添った設計」がコンセプトで、ウォークスルー構造を採用しており、荷室の高さも440mmと低く、利用者の負担を軽減し作業効率の向上を支援するというもの。
また、排気ガスの匂い・エンジン音が無く静かなため、住宅街への早朝・深夜の配送にも活躍が期待できる。いわゆるラストワンマイル輸送をスマートにつなぐEV物流車である。
ちなみにEVモーターズは、前回の「ジャパントラックショー2022」にも、車両総重量6t級のBEV小型低床ウォークスルーバン「F8シリーズ8-S2」を参考出品しているが、今回のE2はより熟成を重ねた市販車に近いモデルだ。
スタンバイするEVモーターズのEV物流車
今回出品するE2は、車両総重量は5tで準中型免許が必要なクラスとなるが、普通免許に対応した車両総重量3.5t級の「E1(GVW3.5t、1t積 mini e物流車)」も同時ライナップされる(ジャパントラックショーへは「E2」1台を出品予定)。
E1/E2はモーターをフロントアクスルに配した前輪駆動で、運転席から荷室への行き来ができるウォークスルー構造と荷室の超低床を実現。両車ともに荷室の床面地上高は440mmと、乗降性に優れるのが特徴だ。
ちなみに、ウォークスルー構造と前輪駆動による超低床車といえば、日野自動車の普通免許で乗れる1トン積みEV小型トラック「日野デュトロZ EV・ウォークスルーバン」(床面地上高450mm)が先行して販売されている。
日野デュトロZ EV・ウォークスルーバンの車両寸法は全長4695mm×全幅1695mm×全高2290mmであるのに対し、同クラスのE1は、参考値であるが全長5380mm×全幅1900mm×全高2650mmで、車体サイズはかなり大きく荷物を多く積める車両となりそうだ。
なお、E2のほうは全長5900mmとE1より520mmほど長いが、全幅と全高は変わらない(いずれも参考値)。
EVモーターズ・ジャパンはファブレス企業であるが、バッテリーマネジメントユニット(BMU)やアクティブ・インバーターは自社開発を行なっている。
今回のE1/E2にも自社製インバーターを搭載し、精細な出力コントロールを行なうことで、バッテリーのピーク発生を極力抑制。バッテリーの劣化防止と電力消費の大幅低減を実現している。
航続距離は設計値ながらE1では59.52kWhのバッテリー容量に対し220km、E2は78.72kWhに対し200kmとなっている。
なおEVモーターズのホームページによると、同社のe物流車には、発売日等は未定であるものの、さらに大型の車両もラインナップしている。
前述の「F8シリーズ8-S2」のほか、車両総重量6t/7.5tの「E3」、車両総重量16tのe物流車、さらにeトラクタヘッドなどで、そのほかにもEVバスやEVトライク、充電設備などを手掛けていることを考えると、EVモーターズ・ジャパンは日本の商用車分野におけるBEVの総合メーカー的な存在といえるかもしれない。
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