ナビやスマホのない昔は知識と経験がすべて!! 激狭峠を大型トラックで攻略!?【トラックドライバーが綴る忘れ得ぬ道】

関東へ向かう山越えをどう攻略するのか!? 激狭道路の攻略ルート

 僕が印象に残っているルートとしては、やはり木曽路(国道19号線)ですかね。ここをいかに攻略して関東に突入するか、毎回の悩みどころでした。

 最終の行き先にもよりますが、都内や神奈川方面なら岐阜から木曽路を経由して塩尻に抜けて、諏訪湖から甲州街道がベターですかね。

 埼玉や北関東方面となると、塩尻から松本、三才山トンネル経由で上田に抜けて、佐久から下仁田に抜ける人、上田から軽井沢を抜けて碓氷峠の山越えをする人、塩尻から諏訪に抜けて和田峠を抜ける人、それぞれ好みのルートがありました。

 三才山トンネルや和田トンネルは長野県が管理する有料トンネル(今は無料)なので、当時でいう高速別納プレートは使用不可で、現金払い限定でした。

今は無料化されたようだが、当時有料の三才山トンネルを迂回するため激狭の旧和田峠をよく使っていた
今は無料化されたようだが、当時有料の三才山トンネルを迂回するため激狭の旧和田峠をよく使っていた

 三才山トンネルは有料トンネルしかありませんが、和田トンネルには旧和田峠(国道142号)という旧道ルートがありました。現金を使いたくない運転手は、旧和田峠を通って佐久に抜けるのですが、この道、一応、国道ですが激狭です。知らない運転手なら、まず「通れるのか?」と疑問視するレベルの道です。ですが、トレーラや大型も普通に来ます。

 激狭なため、離合するにもスレスレで、下手な運転手相手だとすれ違うのも困難です。頂上に離合不可のトンネルがあります。1台分の幅しか無く、離合できないため、信号が付いています。

 先の状況が見えないし信号が付いているので、当然信号待ちして進みますが、交通量も少なく人気の無いそのトンネルは、昼間ならよいのですが、夕方以降、あたりが暗くなってきた時間帯に信号待ちなんかしていると、背筋に冷たい物を感じます。

 余談ですが、霊的な場所としても有名であるらしいです。毎回、北関東に行く時は旧和田峠を通っていた僕ですが、一度もそのような目にあったことはありませんでしたけどね……。

 旧和田峠を得意のルートとしていた僕でしたけど、もう一つ愛用していたルートがありました。それは木曽路(国道19号)の途中から伊那に抜けるルートです。木曽路から権兵衛トンネルを抜けて伊那に、諏訪湖の脇を通って茅野から白樺湖を経由して佐久に抜けていました。

 春から秋に掛けては、その日の気分で「どのルートで走ってくかなー?」と毎回考えていましたが、冬季になると除雪状況や天候によって一番走りやすいルート選択をしていました。今は全線高速移動なので、ルート選択で悩むことも少なくなってきました。高速に乗ってピューッと走れば確かに楽です。

 昔は地域別のマップル(地図)で場所を調べて道を覚えていましたが、今はナビに住所を入れれば目的地まで案内してくれます。運転手のなり手が少ない運送業界からすれば、経験値の少ない運転手でもそれなりに走るためには、高速道路を移動したりナビを活用することも必要でしょう。

 時代に逆行していて古くさいとは思いますが、自分の経験値を元に判断して自分の責任で全国どこにでも走る。僕としては昔のほうが今よりも「運転手」という職業がプロとして誇れる時代だったと思います。

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