過重労働押しつけたのに!! 弁済費用も高速代も自腹ってなんだよ!! トラックドライバー「勝手に天引き」の恐怖と実態

積荷の損傷や車両事故を自腹補償? トラック業界にはびこる闇はなぜ消えない!?

 トラック業界の闇に「自腹補償」というものがあります。

 運送中に破損した商品の買取りや弁済、車両事故を起こした場合の修理費用の負担など、以前より減ってきているとはいうものの、まだまだトラックドライバーに負担を強いるブラックな掟がはびこっています。

 その実態は果して……? 前編に続き、今回は北海道で建築資材を運ぶトラックドライバー菊地さんが周囲のドライバーや元ドライバーに話を聞いてくれた後編をお伝えします。

文/菊地さん、写真/フルロード編集部

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本人の同意なしに天引き

 まずは身近なドライバーAさんに荷物を破損した時の話を聞きました。

 キャスター付きの籠に飲料を満載した状態で荷積み中に小さな段差でキャスターが止まり、籠ごと転倒。箱売りをする店舗に納品するため、段ボールに変形や損傷があると受け取り拒否されることからすべて買い取りとなりました。

 金額は8万円強で、翌月の給料から本人の同意無しに2万円ずつ4回天引きされたそうです。

 例え入社時の契約書で破損荷物の弁償に関する同意書にサインをしたとしても、労働基準法には賠償を予定してはいけないという法律がありますし、更に給料は全額通貨により支払わなければならないという法律もありますから、本人の同意無しに勝手に天引きを開始するのは違法ではないでしょうか。

 そもそも運転手に弁償させても良いのかを調べると、良いとも悪いとも法的には定められていません。つまり、損害を支払わなければならない法律も、支払わなくても良いとする法律もないそうです。

 そうなると過失割合みたいなものを計算し、会社と運転手が合意できる金額を決める話し合いをするのが筋だと思います。悪意をもって故意に破損させたのでもない限り、運転手に100%弁償させるわけにはいかないと思います。

 しかし、全額を弁償させている会社はまだけっこうあるのではないでしょうか? この運転手不足の時代にありながら、人に働いてもらっているという意識の無い会社は特にその傾向にあるようです。

無理な運航を指示された上に……

 次に居眠り運転をして路肩に転落する単独事故を起こした元ドライバーBさんの話です。

 地方への配達を夕方に終え、配車係が帰り荷を手配できず回送を開始。1日16時間を超える拘束勤務の4日目でした。毎日800kmから1000kmを超える距離を運転し、眠さの限界を感じたら4時間ほど寝るというサイクルで、かなり無理な働き方を指示されていました。

 事故では幸い大きな故障はなかったのですが、バンパーと足回りの部品交換、レッカー代を入れて費用は32万円強。案の定、会社側は全額の弁償を求めてきたそうです。

 Bさんは怒り心頭、弁護士を立て訴訟の準備を始め、それを会社に伝えました。彼は過去2年間の日報とタコグラフのコピーを持っており、本来、過去に支払われているべき時間外給与を計算すると200万円を超えていました。

 誤魔化しようのない労基法違反の証拠が揃っており、正式に裁判を開始するか、時間外手当てから修理代を差し引き、残りを全額運転手に支払うことで示談にするかの選択肢を、弁護士を通して会社に提案したそうです。

 結果は示談。彼はその会社を退職し、トラックドライバーの仕事も辞めました。現在は某倉庫でリフトマンをしています。

労使双方にとって最悪の結果になったケース

 次は高速道路の料金に関するCさんの話です。

 彼は一日に5~6本のトレーラを牽く仕事をしていました。一般道を走っていては睡眠時間が1日に3時間しか取れず、どう頑張っても食事や入浴の時間もなかったそうです。

 それでも給料は手取りで40万円を超える仕事だったので、半年ほど無理をして続けたそうです。しかし体力の限界を感じ、労基法もあるので、配車係に「何とかして欲しい」と訴えたところ、「自分の判断で高速道路を使うように」と言われたそうです。

 そしてCさんは1日に6時間の睡眠時間と、1時間の昼休みを得ました。その代わり高速道路料金として月に約20万円が必要となります。

 きちんと話し合わず、確認もしなかったCさんにも落ち度はありますが、高速代は全額給料から天引きされていたそうです。

 その給与明細を見たCさんは何もかも馬鹿らしくなり、その日に会社で大暴れし、配車係を病院送りにして傷害罪で訴えられました。しかし、ドライバー仲間がかなり会社に圧力をかけて助けてくれたそうです。

 その件で12人の運転手が会社を辞め、仕事に大穴を開けた結果、事業継続が困難になった社長は有り金をすべて持ち逃げし、今も行方不明だそうです。これは、運転手と経営者のどちらにとっても最悪のケースかもしれません。

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